Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一がカワウソのいる動物園と水族館を訪ねます。

地図に残らない水門

080312a

那珂湊漁港水門

36.337726,140.594894

サブマージブルラジアルゲート、というタイプの水門である。別名水没型ラジアルゲート、または越流型、または潜水式とも言うらしい。ぱっと見、水門には見えないと思うが、よーく見てほしい。こんな↓カニの足みたいのがあるでしょ。

080314b

このカニ足の部分が動いて、水の上に見えている低い壁のような部分を上下させるのだ。今の写真の状態が「閉」であり、これがブクブクと水中に沈めば「開」になるわけだ。ふーん。

→こんな原理

主要な動作はほとんど水中で行われ、開閉機器室も地上にあって単なる箱形の普通の建物にしか見えない。何とも無駄がない、というか気負ってない、というか。とにかくすっきりしすぎていて心もすーすーする。ヒツジの皮をかぶったオオカミ、というたとえがあるが、この場合はヒツジが透明で、その皮をかぶったらオオカミごと消えてしまった、みたいなやるせない感じである。

近年、土木業界では景観設計への配慮が要求されるようになっておるそうで、背景を遮らないようなゲート形式を選んだり、堰柱は低く、開閉機器室を下に設置したりなどして、従来型のいかにも水門水門したスタイリングから脱却するのが流行っているのだそうだ。ドボク・エンタテインメント業界のわたしとしては実に困った流行であると思っているが、わたしのために水門があるわけじゃないので文句も言えない。

このまま行くと、今後設置される、あるいはリプレイスされる水門の多くは、「地図に残らない水門」になるのではないか。つまり水門もステルス化するということだ。橋やダムといっしょで水門も爆撃の対象だから、ステルス化するのは理にかなっていると言えばかなっているけどそういう理由じゃないだろうって。

それで、このステルスな那珂湊漁港水門はちょっと特殊な水門で、那珂川の河口部分の隣にある漁港の、那珂川側への出入り口に設けられている。那珂川が洪水の時に、漁港に土砂が流入するのを阻止するのが主目的だそうだ。水位はあまり問題にしていないようなので、こういう低目のゲートでも事足りるのだろうか。

この水門の観賞ポイントは船舶用信号機である。ゲートの入り口に2灯式のが2本、立っている。実際、これがないとかなり寂しい。というかこれ以外に着目するところがないのではないか。鎖が張ってあったりするが、あいにく鎖方面に萌える性向はないし。

さらにこの水門の上流にはこんな↓予告信号機まで設置されている。これはかわいい。

080314c

昨日の海門橋のたもとに、まるで見当違いの方向を向いた信号機があって、なんだこりゃと思ったのがそれであった。これを見つけてようやく見に来たかいがあったと思ったよ。


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Junichi SATO

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[佐藤淳一]写真作家。1963年生まれ。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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カワウソコーヒーが好き。イギリスの「吾輩は獺である」。

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