Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

水位って面白いんじゃないか

090209a水深の目盛り、というか量水標というのが正しい名前なのか。もし水門の模型があったとしたら、ディテールアップには欠かせないパーツだ。

今までちゃんと見ていなかったのだが、実は1メートルごとに色が変えてあるのだった。なるほどこれだと色を覚えておけば、瞬時に水深が読み取れる。

基本的な目盛りは青で連続していて、地の色が黄色、白、オレンジ、緑、赤となっているのだが、緑地に青い目盛りでは明度差がなく、読み取るのが難しいのではないか。これは写真をモノクロにしてみれば一発でわかる。

それと赤地に青はちらついて読みづらい。この配色って普通は避けるよね。映像でやったら、それはいわゆるピカチュウ現象というやつであって、目を回してぶっ倒れる子供もいたりする程度にパワフルすぎる配色だからだ。

一番読み取りやすいのが最もやばい水深6メートル超えの部分、つまりいっぱいいっぱいの部分に使われているというのも、一番エマージェンシーな時のために一番見やすい配色を取っておきたいということなのかもしれない。気持ちとしてはわからんでもないが、やっぱりもっと頻繁に読み取る部分にしておいた方が実用的だったのではないかと今日はなんだか余計な心配しまくりだ。

さらに心配すると、どうもメートルを表示する数字だけは後付けらしく、2か所ではがれ落ちている。肝心の情報だけに実に残念な管理状況である。まあいつも同じ係のひとが見ているのであれば、これでも読める、ということなのだろうと思うが、気にはなる。別に管理不行き届きだとか文句を言いたいのではなくて、このレイアウト上、字数を稼ぎたいがためにだらだら書いているのだごめんね。だから水門の名前は書かないよ。

・・・

やっと字数を稼いだので本論に入りたい。実はこの量水標の数字で、面白いことに気がついたのだ。

それは、同じように見える目盛りだが、下から計っている場合と、上から計っている場合がある、ということだ。

上からってどこからだよ?

ということで、先日見てもらった東海道新幹線の橋脚の量水標だ。もういちど見てみよう。

090126

水門用の量水標は、水位が上昇すれば数字が増える方向、つまり川底から水面までの高さを示している。これはまあ、ノーマルだ。

一方で新幹線の橋脚の方は、上に行くにしたがって数字が減っている。これは、水面から橋桁までの距離である。つまり水位そのものではなくて、構造物までのマージン、余裕を示しているわけだ。

・・・

実は、大阪にお住まいの丹羽豊さんから、この「4P」という記号の意味を教えていただいた。Pは「pier = 橋脚」の頭文字で、4は「4本目」の意味。JRの規定で東京から、あるいは大阪からの順番で振られるのだそうだ。

丹羽さんからは、これは「量水板」または「水位板」と呼ぶこと、数字は床板もしくはJRの基準線からの距離が書かれている、とのご教示もいただいた。数字の方向が河川の量水標とは逆であることは、その段階ですぐに気がつきそうなものだが、さっきやっと気がついたわたしはかなり鈍い。

正直言うと、いままでドボク・エンタテインメントとしては鉄道系は隔離していたのだ。なぜかというと研究も趣味も独自に進化しており、もう入り込む余地がないからである。しかし河川の洪水危険水位と、JRの危険水位は違うらしい、なんて話を聞くと、「鉄道ドボク」はまだいろんな面白い情報が埋もれているのではないか、という気がしてきた。

Trackback

くにみち | 2009年02月10日 01:16
道路の橋にも量水板がついているのか、かなり興味が湧いてきました。
これまで、ノーマークでしたので。

「鉄道土木」と「国道土木」が違っていたら、もっと面白いですね。

どうも、同じ土木でも河川、鉄道、道路ってそれぞれ独自路線があるような気がしてなりません。
jsato | 2009年02月10日 22:59
>くにみちさん、
河川は河川局、鉄道は運輸省〜国鉄、道路は道路局というようにきっちり分かれた状態で発展したので、それぞれが独自の規格、基準を持っているということは十分に考えられますね。

おやすみ前にこの一冊・・・
160px_kawauso_book
東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

動物園・水族館・生息地

[動物園・水族館・生息地ごとの記事アーカイブ。カワウソ中心ですが、たまにほかの動物も出ます]

月別アーカイブ
カテゴリ別アーカイブ
記事検索
タグ絞り込み検索
Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

 Biography + Bibliography
(展覧会と各種掲載リスト)


 Floodgates

 Twitter : otterhaus
 Facebook : otterhaus
 Tumblr : otterhaus
 Tumblr : otterhausanbau
 Flickr : Otterhaus

 メールはこちら

* 依然として記事の内容に無関係なスパム的書き込みが多いため、各記事に対する新規コメントは現在、受け付けておりません。ご連絡は上のメールフォームから、公開ツッコミなどはFacebook、Twitterをご利用いただければ幸いです。


キュイキュイ書房
カワウソ本とカワウソグッズの密林セレクトショップ♪

かわうそ店長、とってもハマります。すでに9巻まで出てるよ。

かわうその自転車屋さん 1 (芳文社コミックス)
かわうその自転車屋さん 1 (芳文社コミックス) [コミック]

こやまけいこ
芳文社
2014-10-16


酒ケーキもいいんだけど、せんべいの方がもっといいよ獺祭。

旭酒造 獺祭 煎餅 だっさい せんべい 山田錦の砕米で作りました 30枚入り
旭酒造 獺祭 煎餅 だっさい せんべい 山田錦の砕米で作りました 30枚入り [その他]
旭酒造


世界13種のカワウソが網羅されているすばらしい入門書が出ました。写真もいっぱい!

Otters of the World
Otters of the World


ハンザのぬいぐるみが各種、買えるようになってますよ。
カワウソ No.3320
カワウソ No.3320 [おもちゃ&ホビー]


フィギュアはシュライヒが造りがいいですね(なぜか最近すごい値段になってる!)。
Schleich シュライヒ カワウソ
Schleich シュライヒ カワウソ


かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)
かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)


かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)
かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)


かわうそ3きょうだい (えほんひろば)
かわうそ3きょうだい (えほんひろば)


空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)
空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)


ぼく、およげないの
ぼく、およげないの


ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学
ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学


Otter (Animal)
Otter (Animal)


Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)
Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)


カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))
カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))


The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother
The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother


椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
椋鳩十全集〈20〉カワウソの海


ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)


河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅

・・・
わたしの本も、ついでにいかがでしょう?


カワウソ

おそらく日本初の、カワウソだけ写真集


ドボク・サミット
ドボク・サミット

みんなで作ったドボク本



恋する水門―FLOODGATES

一家に一冊!世界初の水門写真集


  • ライブドアブログ
Das Otterhaus 【カワウソ舎】