Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

松島どうぶつ・不滅のマリンピア!

[ In this issue, I introduce a small aquarium which was suffered from the massive earthquake and resulted tsunami on Mar. 11. As the zoo which I mentioned last issue, MARINEPIA MATSUSHIMA AQUARIUM was also restored in only 42 days. Behind this miracle revival, there were surprising efforts of the aquarium's staff too. ]

マリンピア松島水族館にも、震災後はじめて行ってきました。

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ビーバー!生きてたかあ!!!


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巣穴の入口でごろごろ。

松島湾の奥に位置する松島水族館に押し寄せた津波は、高さこそ低かったものの、主にバックヤードの機器類に甚大な被害をもたらしました。さらに屋外で飼育されているアメリカビーバーは津波に流され、一時行方不明と伝えられました。後日、全頭保護されたものの、6頭のうち3頭が海水による脱水症状で死亡したそうです。残念だけど、全滅しなかったことだけがせめてもの救いか。


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「津波がここまできました」・・・ペンギンランドの水槽とほぼ同じ高さで、約1.5メートル。


そしてなんと、復旧作業のさ中の4月2日にケープペンギンの卵が孵化したのだそうです。すごいなあ。


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これがケープペンギン。オトナペンギンですけど。


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こちらはおなじみ、フンボルト。


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フンボルトとケープ、どちらもおなかのラインが1本ですが、くちばしの付け根、下の方までがっつりピンクなのがフンボルトです。覚えておきましょう。きっといつかどこかで役に立つぞ。


写ってないですが2本ラインのマゼランもいます。奥に見えるのは極地(正しくは亜南極)ペンギンのお部屋。そっち行ってみましょうか。


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ジェンツー。やっぱり極地もんは、よりころころしていて作りものっぽい。


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マカロニにキングですね。写ってないですがイワトビもいるよ。極地ペンギンズは当然冷房でひえひえ〜の部屋にいます。震災が寒い時期だったのが不幸中の幸い。


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アマゾン水槽のピラルク。パンっ!という凄い音とともにエサを吸い込んだ直後の状態ですが、この写真じゃわけわかんないですね。


熱帯水槽は、停電でとりわけ苦労されたことでしょう。沸かしたお湯を入れて温度を維持したという話が伝わっています。

設備の停止によって、マンボウやコマッコウ、クラゲなどが死んでしまいました。それでもアクアマリンふくしまのように全滅に近い状況に陥らなかったのは、設備の古さが逆に幸いしたようなのです。ポンプ等の復旧作業をすべて内部のスタッフの手によって迅速に行うことができたのは、最新の自動制御システムではなく、設備担当の方が常に自分の手で最適状態を維持されていた、融通の利くシステムだったからなのです。ここ↓にその驚くべき復旧作業の様子が紹介されています。

マリンピア松島水族館 マリンピア日記 水族館のお医者さん (2011-03-31)

こういう現場のひとたちの機転の利いた対応ってのは、ほんとに素晴らしいと思う。本物のかっこよさってのはこういうことだ。



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キタオットセイの保護個体、タロちゃん。元気にしてました。


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タロちゃんいつもびゅんびゅんに泳いでて、うまく撮れた試しがない。


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オットセイの耳が気になる今日この頃です。


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さらに撮影困難なバイカルアザラシ。


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下手に撮るとコワい動物か、怪しい動物に写ってしまいます。ごめんね。


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「ビーバー見つかるといいですね」なんて書かれててさ、泣けてきますよ。


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イロワケイルカ!


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名古屋港水族館から6月にやって来たタイマイ(だよね?)。ウミガメもこうやって見るといいもんだねえ。

トピックス 広報レポート 名古屋港水族館生まれのタイマイとクマノミをマリンピア松島水族館(宮城県)へ届けてきました




・・・



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マリンピアは不滅です。いいぞいいぞ!

前回、「はじめてのどうぶつえん」の話をしましたが、「はじめてのすいぞくかん:my first aquarium」ってのもあるわけで、わたしの場合はもちろん、ここ松島水族館です。

決して大きな水族館ではありません。今回は逆にそれがよかった面もありますが、やっぱり設備も古いです。なにしろ「同一場所にある民営水族館としては日本最古」なんだそうです。昭和2(1927)年、現JR仙石線の前身である私鉄の宮城電気鉄道が松島公園駅(現:松島海岸駅)まで延長されたときに、同時にできた水族館が、ずっと同じ場所にある、という筋金入りの古さです。

ひところ、仙台市内へ移転の話がありました。仙台市が10億の予算を計上するところまで行ったところで、運営会社が資金調達に失敗、白紙に戻ったところで今回の震災です。つまり当分この話は復活しないでしょうね。

となったら、いまある地で徹底的にがんばるしかない。地元のひとたちは何でも自家用車で移動するからぜんぜんメリットだと考えていないフシがあるけど、電車の駅前にある水族館、というのは悪いもんじゃないよ(仙石線はいわゆるローカル線ではない)。アクアマリンふくしまや男鹿GAOのような大規模な水族館に目をうばわれるあまり、大風呂敷ひろげた需要予測で同じような水族館を東北にもうひとつ作ることはないと思う。小ささや古さ、という要素を逆にプラス価値に転換するようなプランってのが、きっとあるに違いない・・・などと勝手な事を考えてしまいます。


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アシカも元気にしてました(じつはこれだけ去年の写真ですまん)。みなさんも八木山行ったら、ぜひ松島まで足をのばしてくださいね。

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Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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