
秋田市大森山動物園の熱いキリンキーパー、柴田さんに会いに行ってきました!
まずはキリンたちをご紹介。

こんにちは、リンリンです。

すごいツノ毛ぼわぼわ!と思ったらそれもそのはず。去年亡くなった盛岡のリリーさんの娘だった(あとで気が付いた)。そういう肝心なことを忘れて行ったらいかんね〜。

カンタです。オカピなみにマユゲ濃いです。

カンタ2歳。まだまだ成長するぜ。
さて、お読みくださっている皆さまには先刻ご承知と思われますが、大森山のキリン担当キーパー、柴田典弘さんが昨年からはじめたキリンのハズバンダリートレーニングが、動物園業界で話題になっています。

ハズバンダリートレーニング(husbandry training)とは、本来は野生動物を家畜化するための馴致技術一般を指すのだと思いますが(まちがってたらすいません)、現代の動物園という文脈で使われた場合、もう一歩つっこんで飼育動物の健康管理のために行われるトレーニングのことを指してます。かつてのように芸を仕込むためにトレーニングをするのではなく、病気の予防や治療のための行為をスムーズに行えるよう、ふだんから動物がさわってもいやがらないようにトレーニングするわけです。
水族館のイルカなんかはどこでもやっていることだと思いますが、動物園のキリンにこれを適用する人はいませんでした。しかし柴田さんはやってみたんだねえ。そしてちゃんと成果を出した!すばらしい!!!
・・・
【追記 2012.8.3】ここでさっそく柴田さんからご指摘が。柴田さんには師匠(当時羽村市動物園にいらして、現在八景島シーパラダイスに戻られた竹内さん)がいらして、師匠からの呼びかけを即座に実践してみたのがそもそものはじまりなんだそうです。熱い人の後ろには、また熱い人がいるんだねえ!
・・・
柴田さんがトレーニングのための場所に出ると、さっそくリンリンがやって来ます。

いそいそ

リンリン、やる気満々!

ますは横向きのトレーニング。これ、ものすごく普通に見えるかもしれませんが、キリンは基本的にエサがほしくて正面から近づいてくるのであって、それをあえて横向きにさせる、というのはトレーニングの成果なんです。何で横向きにするのかって?しっぽ引っ張って遊ぶためじゃありません。おなかやおしりを診察するためには、後ろから近づくわけにはいかないでしょ(うっかりそんなことしたらけっ飛ばされます!)。

続いてターゲットを使ったトレーニング。

この魔法のスティックみたいな棒を足元に持って行くと・・・

足が出ます。

こうすることによって、ひづめを削ることができるのだ。
動物園のキリンは、野生に比べて歩く距離が少ないなどの原因でひづめが伸びすぎることがあります。最悪の場合、歩けなくなっちゃうことすらあるので、伸びすぎた部分は削らなければいけません(削蹄といいます)。従来はそのために麻酔をかけたりする必要がありました。しかしそれはたいへんなリスクを伴うし、なにより動物だって麻酔かけられるのはイヤです。だからこうやってひづめのお手入れができるようにするのはとっても大切なこと。

よくできました〜♪
言うまでもありませんが、トレーニングはオペラント条件付け、という方法で行われます。期待する動作ができたらえさをあげて、笛を吹くわけです。要するにほめて覚えさせる。

次のメニューは・・・

採血!
人間でもイヤな採血ですが、キリンが簡単にさせてくれるのでしょうか?

ぷすっ!

痛くない痛くない・・・
実際に採血するのは10日ごとだそうですが、トレーニングはもちろん毎日。

ここから先は世界レベル!
なぜなら、キリンは首の内側に人が入るのがイヤなので、ここまでやらせてくれるというのはかなりの信頼関係ができているからなんですね。ネッキングでぶっ飛ばされる危険性を考えて、欧米の動物園ではキリンも間接飼育になってるんじゃないか、ということです。ってことはここまでやれるのは柴田さんだけなのかも。

ここはたたいても大丈夫。というか、注射する部位にはぺちぺちして、刺激に驚かないようにしておきます。

そしてこれはおそらく難度G。耳の内部にふーっ、とな!
いやー、すごい。何よりリンリンが楽しそうにしているところが面白いです。トレーニング、というより遊んでもらっているようにすら見えます。その証拠に、リンリンがトレーニングしているのを、カンタが後ろからじーっと見ていました。

ぼくもトレーニングしたい!
静止画像では何だかよくわからん、というあなたへ。柴田さん自身がトレーニングの様子をおさめた動画をアップされています ↓ ので、見てみてね。
秋田市大森山動物園 - YouTube
つづきます。