Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

2月の八木山動物公園と松島水族館と

[ Last month, I had a lecture at Yagiyama Zoological Park. The theme of these five times lecture series is "Zoo for grown-ups". As my turn, I spoke about a proposal concerning the new viewpoint of taking photos at zoo. ]

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まいど速報性ゼロのブログですが、先月(2月)の後半に、仙台市八木山動物公園に行っておりました。


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用事はこれです。「大人の動物園」。

大人の動物園 | 仙台市

5回シリーズのセミナーです。昨日、3月7日が最終回でした。ズーラシアの村田園長と東大総博の遠藤秀樹さんの熱い対談が行われたはず。で、その前の4回目(2月21日)は、わたしがお話しさせていただきました。


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雪の残る放飼場を歩き回るベン。


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葉っぱも〜らい〜♪


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リリーさん。

セミナーではここ「アフリカ平原」の展示景観についてほめまくりました。その理由を挙げ、比較対象のための他園の写真を大量に提示しつつ、八木山のアフリカ園の景観は世界レベルである、とまで言いきりました。大きく出ましたw


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メアリーさん。


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東北のひとは宣伝がヘタと言われます。わたしも東北のひとでこれまた宣伝がヘタでありぜんぜん役に立ちませんが、アフリカ園はもっと存在をアピールして、多くのひとに見てもらった方がいいんじゃないかと思います。なにしろよくできているからです。仙台のひとしか見に来ない、っていうのではもったいないです。


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ユウキ元気にしとるか?


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あははずっと見てる。冬はパドック勤務が多いのかな。


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さて、キリンのビューポイントからアフリカ園売店まで、気が付かないくらいの微妙な上り勾配がつけられている、ということをお話しさせていただきましたが、その証拠写真?です。カバの後がゆるい斜面になっているように見えます(この写真はちょっと強調しすぎかも)。

キリンのところから売店の方を見ると、園外の樹木にまで通景ができて、実際以上の奥行きを感じるように作られているわけです。許されるものなら、いつか実際にこのへんを歩いて確かめてみたいものです。

あ、あと園長おすすめの、アフリカ園売店の屋上(立入禁止だ!)からの逆方向の景観もいつか見てみたいです。


・・・


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ドン様。


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これはアカラ?アイナ?
どなたか識別お願いしますー。

→アカラくんだそうです。Nさんご教示ありがとうございます。



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ふんふん・・・


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素通り〜w 
ありゃ



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カイ&ポーラ、微妙にすれ違っておりました。



以上はセミナーが始まる前の時間にうろうろ撮影した、八木山のスターたちであります。

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さてさて、こちらセミナー会場です。今さらですが、その節はご来場ありがとうございました。おかげさまで無事に終わることができ、ほっとしました。

内容ですが、もちろんアフリカ園をほめることだけで2時間も持ちませんので、動物園での撮影における、新しい視点の提案みたいなことをお話しました。

わたしたちは動物を撮るとき、うっかりどアップでばかり撮りがちです。それは動物の表情や仕草が魅力的だからなのですが、それだけでいいんだろうか。たまにはぐっとズームを引いて、あるいは広角レンズで撮ってみると、どうなるのだろうか。

引いて撮ることによって、動物だけでなくその周囲の状況まで写り込むことになります。できれば人工物が入らないように撮りたい、と思いがちですが、それって暗黙のうちに野生動物と同じように撮れることを目指している。だとしたら、動物園で撮ることは生息地で野生個体撮ることの代償行為にしかならない。

積極的に動物園で撮ることの意義を考えたとき、動物の周囲に配された人工物は、むしろ面白がるべき要素となる。それこそが「動物園らしい風景」の発見です。

柵やモートや壁や獣舎など、動物を取り巻くさまざまな建築/構造物のありようは、実は動物園独特の技術や文化の反映であり、歴史的な変遷や、地域的特徴が現われるような、実はきわめて知的な解析の対象となるものです。それをカッコよく入れて撮ったらいいんです。

実は動物の周囲に何があるのか、を意識することは、なぜわれわれ現代の人間が動物を飼育し、展示するのか、という根本的な意義を考え直す端緒となる可能性があり、それを意識するとしないとでは、来園者としての個人が動物園と接するときの基本的な姿勢がまったく違ってくるのではないか。園は展示にメッセージを込め、それをちゃんと解読できるのが大人の来園者、という関係がいいんじゃないか。


・・・というような話をさせてもらいました。


今回のセミナーでは毎回、参加者の方にアンケートを書いてもらっており、その内容が講演者に知らされるようになっています。それを読ませていただく限り、だいたいのところは伝わったように思っています。おそらくわたしがこういった、言わば「外部からの視点」を持てるのは、もともとドボク写真家だからでしょうね。その辺をちゃんと見抜いていらっしゃるようなコメントもいただきました。ありがたいことです。


・・・


翌日は、去年11月に行った時にもうこれが最後かも、と思ってたマリンピア松島水族館へ、もう一度、足を運びました。今度こそ最後かな。

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2月とはいえ日曜日なので、なかなかにぎやかでした。


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ああ、いよいよカウントダウンなんですね。

この空間、しっかり記憶に留めました。


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おやすみ前にこの一冊・・・
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東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

動物園・水族館・生息地

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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)
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・・・
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