Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

スケール感、について

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新年おめでとうございます。
今年も最低限のサービスで坦々と行くので、ついてこれる人はどうかよろしく頼みます。

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いきなりだけど、建築模型に付けられる人形のことを何と呼ぶのだろう。

もちろんあれが何のために置かれているのかは理解してますって。でもわたしは建築家ではないし、建築模型の人形は自分とは全く関係ない存在だと思ってた。でもでもでも、どうやらそうも言ってられないことに気がついてしまった。というのも、今まで水門なんかの撮影の際にはなるべく人間が写り込まないようにしていたのだが、写真を見てくれている人にちゃんとスケールが伝わっていないらしいことを知ったからである。

見たことがないものを見たとき、人間はそれの大きさをどうやって認識するのか。

おそらく、自分が今までに見たものの中で、最も似ているものを基準にして、大きさをつかもうとするはずである。だから昨日の運河エレベータの写真のように、多くの人が知らない巨大施設の写真には、人間が写り込んでいる方が望ましいことになる。

で、今日の水門の写真を見てほしい。jsato.orgや「ワンダーJAPAN 5号」で既出のイメージだけど、右下に人間が写っていることに気がついてましたか? それに気がつく前と後では、水門の大きさがかなり大きく変化しませんでしたか?(今、確認したら、ワンダーJAPANでは人がノド=綴じ込み部にかかっていて、ほとんど見えないですね)

そんなのは先刻ご承知であって、スケール感を壊したり逆手に取ったりして成立するのが写真平面だろうが、とか言われそうなんだけど、それもわかっている上で恥ずかしげもなく書いているんだけど、何かそこのところをちゃんと考えないといけないな、と正月から反省しているようなわけなのだ。

何かを意図して写真と現実とのスケール感の連鎖を断ち切るには、写真に写っているものが既知のものでないことには意味がない。すでに自分が知っていると思っているものの、スケール感が違っているように見えたときに、人間は視覚的な面白さを感じるからである。だからもし未知のものが写っている写真において、スケール感をつかむためのヒントが与えられなかったとすれば、面白さが成立するための土台がない、ということになる。

解像度が必要以上にある写真(印刷媒体やネットなどのメディアに乗ってない写真)であれば、接近、凝視して解像度を上げていくような見方ができるので、ものの表面の肌理による、言わば積み上げ型のスケール感の形成が期待できる。多くの写真家がオリジナルプリントで写真を見せたがるのは、この逃げ道を狙っているためでもあるのだ。

ここのところの自分の興味の核心は、どうやら「ものの大きさとは何なのか」というところにあるのではないか。面倒なものを気にし出したものである。

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おやすみ前にこの一冊・・・
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Where captive otters live in Japan.

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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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