
利根大堰
36.189282,139.473216
「単純反復」が好きになってきた今日この頃である。
しかし前に橋を撮るのは難しいと書いてみたのだが、ご覧のような大規模可動堰などは、橋と全く同じ撮り方をせねばならない。そうするとやっぱり空やら水面やらが盛大に写り込んでしまい、まんまと美しいフォトジェニック写真が完成してしまって失敗だ。
いったいフォトジェニックって、要するに何なんだ?
photogenic
【形】 写真写りの良い、写真向きの、画面映えのする、発光する
・ She's photogenic. 彼女は写真写りがいい。
http://eow.alc.co.jp/photogenic/UTF-8/?ref=sa
あらん。わたしは「写真写りのいい写真」を避けているんだったか。40年以上生きていると、人間はいろいろと不可解なことをやるもんだ、などと感心している場合ではない、フォトジェニックの話を書こうと思ったわけではなくて、単純反復である。
岡田昌彰著『テクノスケープ』によれば、単純反復はミニマルアートの大きな特徴であり(p.140)、その異化作用が、もともと単純反復の起きやすい工業的な構造物へのまなざしにおいても現れることを指摘している(p.164)。また単純反復の効果は、
「構成単位の形骸化と反復秩序の強調」「構成単位の持つ記号内容(意味内容)の希薄化」にあるとする(p.141)。
そうであるとすると、実は単純反復とフォトジェニックは絡みあっているのだった。
橋や大規模可動堰のように単純反復が線的に並ぶ場合、写真フレームが一般的な比率である限り、中心主題である単純反復構造物が意味を希薄化させればさせるほどに、その上下に発生する空間(主として自然現象)が目を引くようになり、その結果として画面全体の印象は、単純反復のない場合にくらべてむしろフォトジェニックの度合いが高くなってしまうのだ。
高層建築物や壁面や法面のコンクリート処理のように単純反復が面的に並ぶ場合は、これが起こりにくくて、撮れば撮っただけ単純反復の効果が大いに効きまくり、実にいい感じだ。
なんかすごいいいことを思いついたような気がしたのだが、書いてみたらぜんぜん大したことないじゃん。





















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