ロンキエール・インクラインを訪ねたのは一昨年の夏のことで、わたしにしてはめずらしいことなんだけど、雨が降っている日だった。雨降ってるから明日にしよう、なんて日程の余裕があるはずもなく、仕方なく撮影をはじめた。
上の写真は、下部水路から水槽へ入る部分のゲート。ゲート自体は真っ黒で無愛想この上ないが、横のぐるぐる模様の信号機はとってもかわいい。回転してくれたらもっと好きになりそう。
石炭を積んだ貨物船が今まさに水槽に進入している。この後どうなるかを、例によってインチキなムービーにしてみた。
雨の中を巨大な水槽がゆっくりと斜面を上っていく。ここから見ている限り音はほとんど聞こえてこない。機械音よりも、雨がぽつぽつと降る音の方が耳につく。雨の森の中を5500トンの鉄の箱が静かに移動する、というのはなかなか厳粛な雰囲気である。
この時点ではさすがはヨーロッパ。大人のドボク、って感じだよねとか思ったわけだ。ところで大人のドボク、って何だよ。