
今までちゃんと見ていなかったのだが、実は1メートルごとに色が変えてあるのだった。なるほどこれだと色を覚えておけば、瞬時に水深が読み取れる。
基本的な目盛りは青で連続していて、地の色が黄色、白、オレンジ、緑、赤となっているのだが、緑地に青い目盛りでは明度差がなく、読み取るのが難しいのではないか。これは写真をモノクロにしてみれば一発でわかる。
それと赤地に青はちらついて読みづらい。この配色って普通は避けるよね。映像でやったら、それはいわゆるピカチュウ現象というやつであって、目を回してぶっ倒れる子供もいたりする程度にパワフルすぎる配色だからだ。
一番読み取りやすいのが最もやばい水深6メートル超えの部分、つまりいっぱいいっぱいの部分に使われているというのも、一番エマージェンシーな時のために一番見やすい配色を取っておきたいということなのかもしれない。気持ちとしてはわからんでもないが、やっぱりもっと頻繁に読み取る部分にしておいた方が実用的だったのではないかと今日はなんだか余計な心配しまくりだ。
さらに心配すると、どうもメートルを表示する数字だけは後付けらしく、2か所ではがれ落ちている。肝心の情報だけに実に残念な管理状況である。まあいつも同じ係のひとが見ているのであれば、これでも読める、ということなのだろうと思うが、気にはなる。別に管理不行き届きだとか文句を言いたいのではなくて、このレイアウト上、字数を稼ぎたいがためにだらだら書いているのだごめんね。だから水門の名前は書かないよ。
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やっと字数を稼いだので本論に入りたい。実はこの量水標の数字で、面白いことに気がついたのだ。
それは、同じように見える目盛りだが、下から計っている場合と、上から計っている場合がある、ということだ。
上からってどこからだよ?
ということで、先日見てもらった東海道新幹線の橋脚の量水標だ。もういちど見てみよう。

水門用の量水標は、水位が上昇すれば数字が増える方向、つまり川底から水面までの高さを示している。これはまあ、ノーマルだ。
一方で新幹線の橋脚の方は、上に行くにしたがって数字が減っている。これは、水面から橋桁までの距離である。つまり水位そのものではなくて、構造物までのマージン、余裕を示しているわけだ。
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実は、大阪にお住まいの丹羽豊さんから、この「4P」という記号の意味を教えていただいた。Pは「pier = 橋脚」の頭文字で、4は「4本目」の意味。JRの規定で東京から、あるいは大阪からの順番で振られるのだそうだ。
丹羽さんからは、これは「量水板」または「水位板」と呼ぶこと、数字は床板もしくはJRの基準線からの距離が書かれている、とのご教示もいただいた。数字の方向が河川の量水標とは逆であることは、その段階ですぐに気がつきそうなものだが、さっきやっと気がついたわたしはかなり鈍い。
正直言うと、いままでドボク・エンタテインメントとしては鉄道系は隔離していたのだ。なぜかというと研究も趣味も独自に進化しており、もう入り込む余地がないからである。しかし河川の洪水危険水位と、JRの危険水位は違うらしい、なんて話を聞くと、「鉄道ドボク」はまだいろんな面白い情報が埋もれているのではないか、という気がしてきた。