Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

最低橋、茂森橋!

昨日はパドル提督のお伴で、江東内部河川の水路探索に出かけた。なぜまたこんなド真夏に好き好んでそんなところに?というと、昨日はぐーっと潮位が下る日と日曜日がブチ当たった、めでたくもレアな日だったからである。

水位が下ると何でめでたいのか? それは水位が高い時には通れないような、ケタが思いっきり低い、古い橋の下を通過できるからなのだという。ふーむ。

普段くぐれない橋をくぐったりするのは面白いだろうなあ、ぐらいのいい加減な気持ちで、3週間ぶりにふたたびパドル提督の愛艇に乗せていただくことになったのだが、結論から先に言うと、それは想像を絶するデンジャラスでアドベンチャーな行為なのであった。

今回の超目玉、茂森橋。またの名を最低橋(笑)。

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こうやって見ると、何の変哲もない古い橋だが、桁下がAP(荒川水系基準水位)+2.3メートルしかない。数字で言われてもわたしをふくめてピンと来ない人の方が多いと思うけど、この数字は「暴力的なまでに低い」ということを表しているので、ぜひ記憶しておきたい。

で、とにかく通過だ。

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おおおおおおおおおおおお〜。

当然のことながら、われわれはボートの上で立ち上がってなどいない。しゃがんでボートの風防に隠れたり、伏せたりリンボーダンスみたいな姿勢をとったりしたまま前に進んでいるのだ。背筋を伸ばして座っているだけで、間違いなく橋桁に頭をぶつけるぐらい低い。古い橋の裏はリベットだらけで、うっかりすると頭皮をこすりとられそうで、とてもおそろしい。

この感じ、何かに似てるなあと思った。戦争映画で伏せてジープを運転しながら、敵弾の中に突っ込むシーンなどがよくあるが、まさにあの状態である。デンジャラスで危険な香りがする、大人の男の遊びである。まさかこの年になって、江東区の大横川の橋の下で男の遊びをすることになるなんて、思ってもみなかったです。

通過後、振り返って最低橋、茂森橋を眺める。

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うん、確かに絶望的なまでに、低い。

自転車のおっちゃんが平和な顔して橋を渡っているが、先ほどまでこの橋の下では壮絶な男の遊びが繰り広げられていたことなど知る由もなかろう。

ここが茂森橋。


大きな地図で見る


パドル提督はこの茂森橋だけじゃなく、いろいろとアトラクション満載であちこちまわってくれたのだけど、詳細は提督の詳細な航行記にゆだねることにしたい。速報屋のわたしからは、最低橋との対比で、全く反対の雰囲気の水路空間をご紹介するにとどめます。

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ほーら、いいでしょ!
ここをずーっと進むのだよ。

これは竪川。あの竪川水門のある竪川ね。いま首都高7号小松川線を両国JCT方向へ走っている(まさにその下にいる)と思っていただきたい。首都高の高架橋の下を、一般道の橋が交差している、その下の水路を走り抜けるという、何たるパラダイスな空間か。

JCTに向かって高さを稼ぐ首都高が屋根になっているので、ヘッドクリアランスが十分にある。その割に両側の建物が低いため、たぐい稀なる「明るい高架下水路」ができあがっているのだそうだ。特に夏は日差しを避けて航行できるので、きわめて快適な空間なのであった。

せっかくのパラダイス空間だが、実際の水路利用はちょっと行儀が悪く、小汚い印象。こりゃもったいないね。外人観光客向け(別に外人でなくてもいいが、日本人は「首都高の高架の下なんて」みたいなバイアスがかかっているので)にここをボートで走るツアーとかやったら、かなりウケるんじゃないか、などと勝手なことを考えた。

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ここ、いい!
ツタなんかも勝手にからまっちゃってて、なかなかラブリーなポイントだ。


【追記】
パドルさんの航行記(というか戦闘詳報)が始まったよ。
http://suiro.blog27.fc2.com/blog-entry-278.html

【追記2】
いよいよ接近、茂森橋!
http://suiro.blog27.fc2.com/blog-entry-282.html

【訂正】
茂森橋の桁下の高さをこっそり訂正しました。

Trackback

水門先生と江東運河地帯…1
●ええ、前回同様、すでに速報版が発行されてしまったので、こちらでも始めさせていただきます…。 去る7月18日に、佐藤淳一氏とご一緒した際...
水路をゆく・第二運河 | 2009年08月10日 22:08

パドル | URL | 2009年08月10日 20:20
てっ提督はご勘弁ください。海にほとんど出ない提督なんて、文系海の男・総裁に叱られそうで怖いです。
jsato | 2009年08月11日 07:02
パドルさんは「川の提督」ってことで。オーストリア海軍の例もあるし。

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Junichi SATO

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[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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