Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

誰も行かないような石狩川の頭首工めぐり2

頭首工めぐりの話は地味になるだろうな、と思ってけど、やはりその通りになっている。これを機に、今後はもっと地味に生きようかなどとよくわからないことを考えて次の頭首工へ向かう。天気もきわめて地味で、時おり雨が強くなるので、基本的にやってられない感じだ。

9キロ上流にある大雪頭首工は、地形的に大きな特徴はないところだが、JR石北本線がすぐそばを通っているため、割と簡単に見つかった。ひろびろとしたサイトは手入れも行き届いて明るい雰囲気。ちょうど雨が止んでくれたので早速、撮影させてもらうことに。

大雪頭首工。
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写真をクリックすると、Panoramio上のわたしの写真に飛びます。

位置情報と大きな写真は、毎度ながら写真をクリックしてPanoramioから見てね。以下同様。

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昭和46年竣工だから30代後半である。70年代特有のすっきりした構造物だなと思ったが、よく見ると堰柱のコンクリートは新しい。後年補強したものだろうか。

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上屋もないけど開閉機器にはカバーがかけられている。あらゆる金属部がオレンジ色に塗られており、雪景色の中で見たらひときわ映えるに違いない。でも寒いのはイヤだ。このあたりは冬はマイナス30度とかだろう。わたしは夏生まれなので、そういう温度域は仕様外だ。

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まあとにかくこの豪快な塗りっぷりを見てほしい。どうせ人が来ないところだから景観配慮の色彩計画とか、そういう面倒なことは抜きにして今日は無礼講だ、と言いたい。

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そういえば今思い出したけど南極観測船もオレンジ色である。やはり氷雪系の苛酷な環境では、この容赦なくド派手なオレンジ色に、機能的な強い意味が込められてしまうに違いない。こじゃれて都会的センスな寒色系の色など塗ってしまうと、きっと吹雪の中では見えなくなってしまってあっという間に役立たずだ。

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ペンキ飛び散ってる。やっぱり豪快。


そして、管理棟がこんなだ。まさに60〜70年代のエスプリの効いたモダニズム建築というか丸くてかわいい。エスプリって何だ。

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現役の百葉箱をひさしぶりに見たような気がする。


これ撮ってたら、近所の人なのか管理の人なのか、車で現れたのでご挨拶。スズメバチの巣があるから気をつけなさいとのこと。ここはクマは出まいと思って安心し切ってたら、別の方面から危険が迫っていたわけだ。んもう、全く気が抜けないじゃないか石狩川上流っ。

でも、ここはとてもいいところだ。すごく気に入った。北海道の頭首工ベストテンをやったら確実にランクインだろう。去りがたい風景をもう1枚。こういうすっきりした、必要最低限みたいな量感の構造物は、もう今後、作られないんじゃないだろうか。

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これも大きくなりますよ。

また雨が降ってきた。とりあえず次の頭首工へ向かおう。


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銘板がなかったので表札ですよ。


# 大雪を「たいせつ」と読むのか「だいせつ」と読むのか悩むところだが、JAがひらがなで「たいせつ」と名乗っているので「たいせつとうしゅこう」ということにしておきます。違ってたら誰か教えてください。

Trackback

yooou | URL | 2009年09月06日 14:58
良いですね〜。羨ましいですね〜。目的を持って、探して彷徨い、出会う。そして一番大切なのは、日常から非日常への脱出。これぞ旅の醍醐味ですね。クマには気を付けて下さいね。
jsato | 2009年09月06日 22:07
最後までクマは出ませんが、別のものが出ます。最終回をお楽しみに!

おやすみ前にこの一冊・・・
160px_kawauso_book
東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

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Junichi SATO

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[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)
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椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
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ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
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河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
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