Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

崩壊地ブック

『崩壊地ブック』届いた。

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ダム日和takaneさんが作られた、崩壊地の入門ガイド。素晴らしい。

090922b

いったいこのA5判のブックレットの、何が素晴らしいのか。

今までこういう河川系ドボクなものに対して、わたしたちは人間の作った構造物(ダムとか水門とか)を、その対象として驚嘆したり鑑賞したりしていたわけだが、『崩壊地ブック』は、崩壊地、あるいは崩壊という現象そのものを対象にしているという点が、まず新鮮だ。

もちろん崩壊地には、砂防ダムや擁壁などの構造物も山ほどある。しかしこの本ではむしろ構造物を発生させる原因の方に主要な着眼があって、構造物は崩壊地を形成する数ある要素のひとつに過ぎない。

というか、砂防は手を替え品を替えの世界だから、構造物の種類もそれこそふんだんにあり、それを分類し解説していくという一般へ向かう方向性よりも、まず現地行って見てこいよ、というtakaneさんの意図があるものと思う。

こういうアプローチの仕方で、マニアックな視線(表面的でない深い理解を求める意志という意味)を通し、知られざる山奥の土地の情報を流通させることに力を注ぐことは、とっても意味のあることだと思う。水源地やそのもっと上では、いったい何が起きているのか、ということに目を向けさせてくれるのだ。

あくまで推測だけど、砂防って簡単には一般化できないものなのかもしれない。現場によって現象が違い、それを受け止めたり防いだりする解法も、それぞれ別の形を取るのではないか。もちろん小技としての標準解法はあるんだろうけど、やはり総合的に見たときに、現場ごとに最適解がぜんぜん違う、みたいな世界なのではないか。土木なんて何でもそうだろと言われたら、おそらくその通りなんだろうけど。


個人的には、むかしから砂防が気になってたので、崩壊地を訪ね歩きたい気持ちはある。でも、今までも何か崩壊地の持つ荒々しさに拒まれるような経験があるので、ふらふらと行ってしまったりはしないような気がする。興味はあるけどあまり行きたくない、という場所はあるものだ。だからこっち方面は適任者に任せようと思っている。

ダムの根本的な機能を考えたとき、ダムだけで貯水量が確保できるわけではないから、山にはもっともっと木を植えないといけない。治水面からも、これはそれこそデ・レーケの昔からの命題だ。しかし、そのまま木を植えたりしただけでは済まない(あるいは植えたくても植わらない)崩壊地のような存在を知ってから、そういう意見を言わないといけないな、と思う。コンクリートを見ると何でも自然破壊と騒ぐような、短絡的思考回路を持つ国民を増やしてはいけない。


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あ、石狩川の頭首工の最終回、もう書いてあるんだけど、Panoramioが大規模メンテナンスで、写真のアップロードができなくなっているのでちょっとお待ちを。

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WJ13、先週出てますよ。
今回は北上川の「福地水門」を載せてもらってます。円筒分水特集も必見。
ワンダーJAPAN13 (三才ムックvol.263) (三才ムック VOL. 263)
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Trackback

takane | URL | 2009年09月22日 22:03
こんなご紹介いただけるとは、恐縮してしまいます。どうもありがとうございました。
土木構造物って何らかの問題を解決する為の手段として存在しているはずなんですが、通常その問題というのは、集中豪雨であったり下流の水需要であったりと見ただけではよくわからないものがほとんどなんですよね。
でも、崩壊地とそれに対する砂防工事ってそれが一目瞭然なんですよ。この分かりやすさというか、そういうのはなかなかほかではないよなーとか思ってます。
>、砂防は手を替え品を替えの世界だから、構造物の種類もそれこそふんだんにあり、それを分類し解説していくという一般へ向かう方向性よりも
実はそこまで手が回らなかったからというとこもかなりありまして(笑)なにしろ砂防ダムとか数が沢山ありますから、どこまで取り上げて行けば良いのかっていうところでキリがなくて。
まあ、これからの課題ではありますね。崩壊地のある砂防工事だけじゃなくてそのほかいろんな砂防もとりあげていきたいな、とか。
船頭 | URL | 2009年09月22日 22:34
これは素敵な本が出ましたね、明日買いに行きます。

崩壊地で思い出したのですが、作家の幸田文は、晩年崩壊地に惹かれるものがあり、山崩れや荒れ川ばかり訪ねて歩いていたとのこと。父親の幸田露伴は、ご存知のとおり結構な水路フリークでしたから、父娘してドボク趣味の気があったとしか思えません。
jsato | 2009年09月23日 00:14
> takaneさん、

崩壊地サイトの方も期待してます。
takaneさんの技術力を持ってすると、たいそう強力なのができそうで楽しみ。


> 船頭さん、

んもう、自分から船頭って名乗らなくても(笑)。
幸田文の話はtakaneさんの本にも出てまいります。
あ、それと書店で売ってるのはWJだけです。
崩壊地ブックは「レア物」です。
せん頭 | URL | 2009年09月23日 23:39
お恥ずかしい、本の雰囲気から、ジュンク堂と書泉グランデで売られているように錯覚してしまいました。

>幸田文の話はtakaneさんの本にも出てまいります。
ますます読んでみたくなりました!
jsato | 2009年09月24日 16:53
確かにグランデ6階や新宿ジュンク6階に並んでても違和感ないですが。

takaneさんの直販なので、直接ご所望されては。
受注生産で在庫僅少だと思いますので、お早めに!
takane | URL | 2009年09月24日 21:26
申し訳ありません、今回注文数ギリギリ発注したので
現在在庫を切らしておりまして。(あと10冊くらい余分を印刷しておけばなーとかちょっと後悔です)

本の内容が大体含まれる予定の崩壊地のサイトを現在作成中でしてどうかそちらをお待ちいただければ。

おやすみ前にこの一冊・・・
160px_kawauso_book
東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

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Junichi SATO

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[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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かわうそ店長、とってもハマります。すでに9巻まで出てるよ。

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世界13種のカワウソが網羅されているすばらしい入門書が出ました。写真もいっぱい!

Otters of the World
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ハンザのぬいぐるみが各種、買えるようになってますよ。
カワウソ No.3320
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フィギュアはシュライヒが造りがいいですね(なぜか最近すごい値段になってる!)。
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かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)
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かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)
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空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)
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ぼく、およげないの
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ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学
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Otter (Animal)
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Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)
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カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))
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The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother
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椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
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ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
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河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
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わたしの本も、ついでにいかがでしょう?


カワウソ

おそらく日本初の、カワウソだけ写真集


ドボク・サミット
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みんなで作ったドボク本



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