Das Otterhaus 【カワウソ舎】旧サイト

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

三色カワウソ

100206b

高知県立のいち動物公園のユーラシアカワウソ、ミンさん。お正月にも登場したので覚えてますよね?

毛が濡れていると色がよくわからんと思うので、乾いている様子を見てみよう。

100206a

日本の動物園で見られるユーラシアカワウソってわりと色白で、色調は茶色というより小豆色っぽい。あずきバーアイスの色、あるいはミルクココア色とでも言えばいいのか。ユーラシアカワウソは分布範囲が広く、西ヨーロッパからシベリア、中国、朝鮮半島まで散らばって住んでいるので、地方ごとに色が違うことは十分に考えられる。日本に来ている個体はだいたい中国産らしいのだが、詳細はよく知らない。

ユーラシアに比べると、コツメカワウソは茶色の黄みが強い感じ。これは同じくのいち動物公園所属のメコン。

100206c

実はコツメの毛の色って条件によってかなり変わる。太陽の直射光だと赤茶色になるけど、曇っているときはユーラシアに近い感じになる。室内飼育で蛍光灯の下だったりすると、ぐっと黒っぽくなる。同じ個体で色を揃えようと思うと、RAW現像のときに余計な苦労をさせられるのだ。それでがんばって毛の色を無理に合わせても、今度は周囲の色が不自然になっちゃったり。これはホワイトバランスとか色かぶりとかいうような写真側の問題というよりは、単純に毛の色が光線条件によって変わって見える、と考えた方がいいようだ。

さて、ふつうは2種類で終わりだけど、のいち動物公園には3種類目がいるのだ。

100206d

ツメナシカワウソのクラ。この写真は濡れている上に直射光も当たっているので、ちょっと色が派手目に出ているが、色調の傾向としてはこのとおり。黒っぽい茶色というかチョコレート色。ヒゲが白くないのが面白い。ツメナシカワウソはアフリカ産で、コツメが二回りほどふくらんで、ぐっとワイルドになったような雰囲気。ちょっとコワいかな。

・・・

さて、のいち動物公園のすごいところは、上の3種類のカワウソが目の前に並び、じっくり比較して観察できるところだ。何と、三つの放飼場は隣り合っているのである。昨年10月の時点で、右からユーラシア、コツメ、ツメナシの順である。それぞれの放飼場はガラスで仕切られており、放射状レイアウトだからコツメの前にいれば3種類のすべてが見渡せる。

実は正面からのわかりやすい写真が撮れてなかった。申し訳ない。そのかわりツメナシ放飼場の横にある水中観察窓から全体を透かして見た写真を出しておきます。

100206e

しかし、よくわかんないですなこの写真。いい?手前からツメナシ、その奥がコツメ、さらにその右奥がユーラシア、だ。どうだ、すごいだろ、ってわたしが作ったわけでもないのに自慢したくなる実にゴージャスなカワウソ展示ですね。

カワウソの種類による色の違いって、個体差じゃないのと思っている人はぜひ、高知に行ってこの三色カワウソ放飼場の前に半日、立ってた方がいい。肉眼で、同じ光線条件下で比べると、明確に違いがあることがわかるよ。3種類のカワウソはそれぞれペアで展示されているので、オスメスの色の違いでもないこともわかるはず。しかし今。あらためて思い起こしてみると、このカワウソ展示施設はすごい体験だった。数だけいっぱいいるゴージャスなカワウソ展示は海外にあるけど、3種類比較って、ありそうでないんじゃないか。それとも世界にはこの上があるのというのだろうか?

前回、愛媛のとべ動物園を「ニホンカワウソ動物園」みたいに書いたけど、高知ののいち動物公園は名実ともに「カワウソ動物園」と呼んでもよいのではないか。それというのも、のいちは日本の動物園・水族館にいるカワウソの血統管理を行っているからだ。その血統の台帳(?)をいつか見てみたいと思っている。だってそれ見たら日本中のカワウソの恋愛関係が一目瞭然ってことでしょ。小学校のときに「クラスの中で好きなひとと嫌いなひとを書いて出しなさい」と言われて書いて出したら、先生がクラスの好き嫌い相関図というのを作っていて、もちろん絶対に見せてくれなかったのだけど、きっとその相関図なみにドキドキすることは間違いない。

Trackback

おやすみ前にこの一冊・・・
160px_kawauso_book
東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

動物園・水族館・生息地

[動物園・水族館・生息地ごとの記事アーカイブ。カワウソ中心ですが、たまにほかの動物も出ます]

月別アーカイブ
カテゴリ別アーカイブ
記事検索
タグ絞り込み検索
Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

 Biography + Bibliography
(展覧会と各種掲載リスト)


 Floodgates

 Twitter : otterhaus
 Facebook : otterhaus
 Tumblr : otterhaus
 Tumblr : otterhausanbau
 Flickr : Otterhaus

* 依然として記事の内容に無関係なスパム的書き込みが多いため、各記事に対する新規コメントは現在、受け付けておりません。ご連絡はFacebook、Twitterをご利用いただければ幸いです。


キュイキュイ書房
カワウソ本とカワウソグッズの密林セレクトショップ♪

かわうそ店長、とってもハマります。すでに9巻まで出てるよ。

かわうその自転車屋さん 1 (芳文社コミックス)
かわうその自転車屋さん 1 (芳文社コミックス) [コミック]

こやまけいこ
芳文社
2014-10-16


酒ケーキもいいんだけど、せんべいの方がもっといいよ獺祭。

旭酒造 獺祭 煎餅 だっさい せんべい 山田錦の砕米で作りました 30枚入り
旭酒造 獺祭 煎餅 だっさい せんべい 山田錦の砕米で作りました 30枚入り [その他]
旭酒造


世界13種のカワウソが網羅されているすばらしい入門書が出ました。写真もいっぱい!

Otters of the World
Otters of the World


ハンザのぬいぐるみが各種、買えるようになってますよ。
カワウソ No.3320
カワウソ No.3320 [おもちゃ&ホビー]


フィギュアはシュライヒが造りがいいですね(なぜか最近すごい値段になってる!)。
Schleich シュライヒ カワウソ
Schleich シュライヒ カワウソ


かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)
かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)


かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)
かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)


かわうそ3きょうだい (えほんひろば)
かわうそ3きょうだい (えほんひろば)


空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)
空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)


ぼく、およげないの
ぼく、およげないの


ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学
ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学


Otter (Animal)
Otter (Animal)


Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)
Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)


カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))
カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))


The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother
The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother


椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
椋鳩十全集〈20〉カワウソの海


ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)


河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅

・・・
わたしの本も、ついでにいかがでしょう?


カワウソ

おそらく日本初の、カワウソだけ写真集


ドボク・サミット
ドボク・サミット

みんなで作ったドボク本



恋する水門―FLOODGATES

一家に一冊!世界初の水門写真集


Das Otterhaus 【カワウソ舎】旧サイト