Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

上野カワウソ・チロル&ドナウ

本日(5/24)より、アクアマリンふくしまから避難してきた2頭のユーラシアカワウソが上野動物園で展示されています。朝だけですが、様子を見てきました。

110524_01
いきなりドナウ登場です。実はドナウが来てからAMFに行ってないんです。そのうち会いに行こうと思っているうちに、大変なことになってしまって・・・しかし、まさか上野で会えるとはね。


110524_19
新しい掲示です。ミーちゃん(バックヤードで元気にしているそうです)の写真もさりげなく出てます。


110524_02
開園直後は、1枚目の写真のようにドナウがプカプカしてるだけ。見るからにネタに困った報道各社さんは修学旅行生をつかまえてインタビューしたり。わたしはというと「オレにインタビューするなよ」オーラを出しまくってテレビカメラを避けてましたw


110524_03
そのうちドナウは飛び出し用水槽の下にもぐったまま、出てこなくなってしまいました。よくあることですが、カワウソ舎に静寂の時が訪れます。ここであきらめて帰っちゃあカワウソなんか撮れないっすよー>報道のみなさん(実は1社だけえさ時間までねばってました。えらいっ!)


110524_04
10時半になって担当キーパーさん登場。さりげない感じでえさでおびき出しますと、チロルが巣穴から出てきました。何だそんなとこにいたのか。


110524_05
ははは。この黒ムギュ、まさしくチロルだ!
肉やら魚やら、さっと取っては引っ込み、巣穴で食べてます。


110524_06
暗闇に溶け込む黒ムギュ。そういえば、覚醒しているチロルを生で初めて見ました。AMFで見た時は、何と開館から閉館までず〜っと寝ておった。そうなると、もうぐーたらとかいうレベルではなくて、逆に根性あるカワウソだなと思いましたね。

Das Otterhaus 【カワウソ舎】 | ねむり姫カワウソ

朝ごはん食べたら、活発に動き出しました。


110524_07
これどっちでしょ?
ムギュの明るさからドナウかもしれません。ユーラシアの顔ってちょっとした角度の違いで見え方が激変するので、コツメに慣れた目には個体識別が難しい。


110524_08
これも同じ。2頭同時に出てくれれば大きさで判断がつくと思うんですが、なかなか2頭、わかりやすく並んだりはしません。そういったあたりも、これまたユーラシアらしい。


110524_09
これは間違いなくチロル。
ピント来てなくてすんません。暗いとぜんぜんAF効かないの、このレンズ。


110524_10
こちらはムギュの明るさからドナウか?


110524_11
これはチロルだよなあ?
チロルは結構、人に寄ってきます。なんか妙に愛想のいい感じのカワウソになってましたよw。


110524_12
この角度だと間違いなくチロルです。


110524_13
前のコマと続きなのでチロル。正面から見るとムギュが明るく見えるのですが、濡れてるので反射でそう見えるだけだと思います。余計にわかりにくいこと書いてますね。


110524_14
実はこんな感じでフェンス越しに寄ってくるのは今のところチロルだけらしい。そうすると6枚前の写真もチロルなのか。


うーん、情けないけどまだ識別ができてない。
いずれにせよ、ドナウの方がまだ慣れてない感じです。予想とは真逆だったので驚きました。



110524_15
おおおおお〜、チロルが飛び出し水槽の上まで上ってきました!初めてのことだそうです。

ひょっとすると、名物飛び出しアクリル水槽まで泳いでくれるのも時間の問題、意外に早いかもしれません。これは楽しみ!


110524_16
この見事な黒ムギュは間違いようがなくチロル。実にヨーロッパ亜種(?)らしい顔です。


110524_17
これがドナウっぽいんですよね。


110524_18
この角度で目がでかく写ると、間違いなくドナウです。


初日の1時間半だけですが、元気そうな2頭の姿を見ることができました。飛び出せ水槽で2頭でガンガン泳いで、過剰なパンダ人気をちょっとは食ってほしいもんです。



【追記 2011.5.25】
フランスのカワウソ友達から教えてもらったのですが、ドナウの出身地であるドイツのミュンヘン動物園(Tierpark Hellabrunn)のサイトに、ドナウが福島で津波に遭遇して避難したという3月17日付のニュースが出ていました。

Tierpark Hellabrunn: Fischotter Ignaz hat die Tsunami-Katastrophe uberlebt

これによると、ドナウは向こうではIgnaz(イグナツ?イグナス?)という名で呼ばれていたようで、アルペン動物園から来たチロルとペアになっていることや、アクアマリンふくしまの被害の模様、津波の後で動物が南の方へ避難したことなどが書かれているようです。ちゃんと心配してくれてるんだなあ、というか、こっちのその後の情報をちゃんと伝えてあげんといかんなあ、と思ったわけです。



【追記 2011.6.3】
その後、何とか目ができたらしく、わたしもちゃんと識別できるようになりました。最初と最後の2枚だけがドナウで、それ以外はぜんぶチロルです。

Trackback

カシワヤ | URL | 2011年05月25日 01:25
こんばんは。
昨日(5/24)は朝行けなくてごめんなさい。
コチトラなんとか寝床から這い出してきて11時くらいには上野へ来たのですが、チロルはすでに寝てばかりでドナウをちらりと見れただけでほぼ後の祭りでした。
多少の写真は撮ったものの、いまだに仕事場にいる関係でブログの更新も出来ない状況です。今夜も何時に帰れるかなぁ・・。
jsato@otterhaus | 2011年05月25日 12:55
>カシワヤさん
と言いつつ更新してるじゃないですかw
しかしあの上野のカワウソ舎って、大口径レンズがないとどうにもならない撮影現場の見本みたいなもんですな(奥が暗い、緻密な金網)。
猫が好き | URL | 2011年05月27日 02:51
 なんかねー。今日の『ドラえもん』にニホンカワウソが登場するらしいっすよ。とり急ぎお知らせまで。
jsato@otterhaus | 2011年05月27日 10:38
>猫が好きさん
だそうですね!
影響力が大きすぎるので、変なカワウソイメージができちゃわないことだけを祈ってます。
猫が好き | URL | 2011年05月27日 23:59
 ご覧になりました?
 おれ的にはまあ、過不足なく情報を盛り込み、人間の責任にもきっちり言及しており、カワウソに対する妙なイメージにもつながるようなポイントもなかったように思え、それなりに良い物語だったのではないかと思いました。
 ただなんだな。ラストシーンが「生き残っていたニホンカワウソの兄弟が、ドラえもんとのび太の助けで、川の上流にあるという伝説の楽園にたどりつき、そこに逃げ延びていた仲間たちと再会する」というものだったのですが。しかしその「楽園」が「現世の楽園」ではなく「冥界」に見えてしまってな・・・。まあ、ぼくたちの責任だ、ちょっとくらいつらい結末だったことは正視しなければなりません。
 これをきっかけにカワウソを記憶にとどめてくれる子どもたちが増えれば、それはきっと悪いことではないと思いました。
やよい | 2011年05月28日 00:45
はじめまして

チロルの故郷のミュンヘン動物園でも消息が取り上げられているですね。
http://www.tierpark-hellabrunn.de/index.php?id=30&tx_ttnews[tt_news]=227&cHash=bbdfc0d151ef1cc909f2eaae3fc5ff8f
jsato@otterhaus | 2011年05月28日 02:09
>猫が好きさん
見ました見ましたw
そうですね、同じような感想です。たしかにあの「楽園」はブッ飛んでました。吹きました。それから途中のプロットは『ガンバとカワウソの冒険』から持ってきたことが見え見えでしたね。
いろいろツッコミを入れてしまいたくなるわけですが、とにもかくにも、かつてニホンカワウソってのがいた、という事実を次世代に伝えていく効果はあったのではないかと思います。
もう一つだけツッコミ。カワウソのルックスをもうちょっと研究してから作画してほしかった。カワウソの走行を横から見ると腰高なシルエットになるのですが、そのあたりがまるで表現できてなかったです。あれでは残念ながらネコが走ってるようにしか見えません。惜しい。
jsato@otterhaus | 2011年05月28日 02:13
>やよいさん
こんばんぴゃ!
そうなんです。アクアマリンの方がここを読んでくれて、復興ブログにそのリンクを貼ってくれたみたいなんですよね。(わたしが上で追記したのと同じアドレスでしょ?偶然にこのタイミングで同じリンク先、ってのは考えにくいですよね。まあどうでもいいのですが)
ミュンヘン動物園には、ドナウ(イグナツ)の先日の写真と、簡単なレポートをメールしておきました。
jsato@otterhaus | 2011年05月31日 00:18
自己レスです。

ミュンヘン動物園から返事が来ました。やっぱりドナウ(イグナツ)が避難後、どうなったかは伝わってなかったみたいです。福島より南の方へ避難したことと、JAZA(日動水)へドネーションを送ったことしか書かれてませんでした。つまりあちらのサイトに書いてあったことだけ。イグナツは上野で元気にやっとるよ!というのは伝わったので、これにてお節介レポート終了。
くまがい | 2011年06月04日 16:54
おでこを見せる角度のチロルは、「ゴジラ顔」なんですよねぇ・・・。
これもユーラシアの特徴ですね!



jsato@otterhaus | 2011年06月05日 00:59
>くまがいさん
上から見るとたしかにゴジラ的ですね。ユーラシアって見る角度によって顔が激変するので面白いです。あとちょうど喫水線のところが水面になるように浮かんでるのを見ると、うまくできてるなあと思います。

おやすみ前にこの一冊・・・
160px_kawauso_book
東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

動物園・水族館・生息地

[動物園・水族館・生息地ごとの記事アーカイブ。カワウソ中心ですが、たまにほかの動物も出ます]

月別アーカイブ
カテゴリ別アーカイブ
記事検索
タグ絞り込み検索
Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

 Biography + Bibliography
(展覧会と各種掲載リスト)


 Floodgates

 Twitter : otterhaus
 Facebook : otterhaus
 Tumblr : otterhaus
 Tumblr : otterhausanbau
 Flickr : Otterhaus

* 依然として記事の内容に無関係なスパム的書き込みが多いため、各記事に対する新規コメントは現在、受け付けておりません。ご連絡はFacebook、Twitterをご利用いただければ幸いです。


キュイキュイ書房
カワウソ本とカワウソグッズの密林セレクトショップ♪

かわうそ店長、とってもハマります。すでに9巻まで出てるよ。

かわうその自転車屋さん 1 (芳文社コミックス)
かわうその自転車屋さん 1 (芳文社コミックス) [コミック]

こやまけいこ
芳文社
2014-10-16


酒ケーキもいいんだけど、せんべいの方がもっといいよ獺祭。

旭酒造 獺祭 煎餅 だっさい せんべい 山田錦の砕米で作りました 30枚入り
旭酒造 獺祭 煎餅 だっさい せんべい 山田錦の砕米で作りました 30枚入り [その他]
旭酒造


世界13種のカワウソが網羅されているすばらしい入門書が出ました。写真もいっぱい!

Otters of the World
Otters of the World


ハンザのぬいぐるみが各種、買えるようになってますよ。
カワウソ No.3320
カワウソ No.3320 [おもちゃ&ホビー]


フィギュアはシュライヒが造りがいいですね(なぜか最近すごい値段になってる!)。
Schleich シュライヒ カワウソ
Schleich シュライヒ カワウソ


かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)
かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)


かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)
かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)


かわうそ3きょうだい (えほんひろば)
かわうそ3きょうだい (えほんひろば)


空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)
空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)


ぼく、およげないの
ぼく、およげないの


ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学
ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学


Otter (Animal)
Otter (Animal)


Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)
Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)


カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))
カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))


The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother
The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother


椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
椋鳩十全集〈20〉カワウソの海


ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)


河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅

・・・
わたしの本も、ついでにいかがでしょう?


カワウソ

おそらく日本初の、カワウソだけ写真集


ドボク・サミット
ドボク・サミット

みんなで作ったドボク本



恋する水門―FLOODGATES

一家に一冊!世界初の水門写真集


Das Otterhaus 【カワウソ舎】