Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

八木山どうぶつ・絶対負けない!

[ Last week, I visited Yagiyama Zoological Park in SENDAI city where the massive earthquake stroke on Mar.11. The zoo was reopened on Apr. 23, but still in restoration. I'd like to show my foreign readers how the animals in the zoo are in the best of health and how zoo staff are making strenuous efforts. SENDAI YAGIYAMA ZOOLOGICAL PARK ]

仙台市八木山動物公園に、震災後はじめて行ってきました。

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言わなくともわかると思いますが、ホッキョクグマ。オスのカイです。


【追記 2012.8.17】これ ↑ ↓ ほんとにカイですか? 1年たって見直したら、ポーラのような気もしてきました。どなたか識別できる方いらっしゃいませんか?



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かっこいいぞぉ!!!


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お、サービスだね。


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何だ、背中がかゆいだけカイ。(←うっすらとオヤジギャグ)


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こちらはメスのナナちゃん。


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おしりどアップ。失礼しました。


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ナナちゃんせわしない。なかなかお顔を撮らせてくれない。


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黒いのもいるよ。




・・・といつもの調子でアホなコメント書いてますが、実はかなりシリアスな気分です。



ひとには誰でも「はじめてのどうぶつえん:my first zoo」というのがあるはずです。



そう。生まれて初めて行った(というか、連れて行かれた)動物園のことですよ。わたしの場合、ここ八木山動物公園がそれに当たります。


ご存知のとおり、東日本大震災で被害を受けた動物園水族館はいくつもありますが、動物園の中で最大の被害を被ったのが八木山でした。


震災直後は多くのみなさんと同様、わたしもなす術がありませんでした。もちろん今だってありませんけど。日動水にわずかなお見舞金を預けることしかできなかった。それでもスタッフや関係者の皆さんは懸命に仕事を続けられ、1か月ちょっとという驚くべき短期間で再開を果たしました。

動物園や水族館という存在が、社会のなかでいかに重要な、大切な心のよりどころとなっていることがはっきりと見えた、数か月でした。


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がんばろう東北。

八木山の最大の被害はサル山。山体に亀裂が入って崩壊寸前だったようです。上の部分が撤去されたあとには、このようなヤグラが組んでありました。




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こんな動物の無心な姿が、心が疲れ果ててしまったひとたちに、どれだけ力を与えることになったことだろう。


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ビーバーには5月6日に4つ子が生まれていました。


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お父さんのゴンタはその直前に亡くなってしまったんだそうです。何とも残念なことです。


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こちらはアフリカ園。


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八木山のシロサイはかっこいいよなあ。


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でも、もうひとつ残念なことが。キリンのアキコが5月19日に亡くなっています。


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元気出せよユウキ!


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・・・






何だか今さらなんだけど、動物園ってすげえなあって、あらためて、思えてきました。







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他の種の生きる姿を見る、ということが、これほど見る側の生きる力をも活性化させるものなのか。





そして最後に、これ。




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みさき公園、京都市動物園・・・後ろのメッセージは東京都動物園協会。


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姫路セントラルパーク、富山市ファミリーパーク(里ノ助だぁ!)、千葉市動物公園(千葉Zooとだけ殴り書きで書いてあって、実にシブい)、群馬サファリパーク(盛岡って書いてあるんだけど?)、大阪市天王寺動植物公園(正式名称はじめて知ったかも)・・・




この時点でわたしは完全に思考が停止しました。
泣けました。




姫センの田中さんが飼料袋に書いておられるメッセージを勝手に引用しちゃいます。

「戦後最大の危機ですが、戦後と違う事が2つあります。1つは負けていないという事と、もう1つは世界中が味方という事です。がんばってください!! 田中」



あんな危急の際に、これだけ含蓄のあるメッセージをさらっと書ける田中さんってすてき!

Trackback

くまがい | 2011年08月13日 02:34
そうですか八木山が初動物園ですか・・・ひょっとして出身が私と同じ辺りですか?
・・・里の助、目立ちますね!ちゃんとTFPの大使をやってるんだ。


yukari | URL | 2011年08月13日 09:09
泣けた。去年仕事で仙台に行ったので、半日だったけどお邪魔した動物園です。
気になってたけど、だからって簡単に行けるとこじゃないし(関西からは遠い)。
全国からのメッセージだけでなく 飼料の袋も展示してあるなんて スタッフの方たちの感謝の気持ちが伝わって来ますね。
一番に救援の名乗りを上げたのは16年前に震災にあって 救援された王子だったと聞きました。
まだまだ ほんのちょっとのことでも手助けになることをしなきゃと思いました。
レポありがとうございました。
kitto | URL | 評価 5 | 2011年08月13日 11:22
心にズンときました。
命って、なんてはかなくて、でもなんて逞しく強いものなんだろう。
感じるものが多すぎてうまく言葉にまとまりませんが、この記事を書いてくださって、ありがとうございます。
Rei | 2011年08月13日 22:45
じわりと来ました・・・
全国各地の動物園からの飼料の袋を展示するなんて
なんて素敵な企画。そしてその袋の上にメッセージがあって、
勇気づけられるメッセージに、本当に日本はまだまだ
捨てたものではないと思いました。

時間かかるかもしれないけど、未来はきっと明るいはず。
そんな気がしました。
yooou | URL | 2011年08月14日 06:52
僕ら夫婦も子どもたちも動物園といえば八木山です。今でも。それでもやっぱり動物園の動物たちのことについてちゃんと考えたことなんて正直ありませんでした。いくら頑張っても身の丈でしか思いは寄せられないということですね。

こうしたことにちゃんと気がついて支援してくださる方がいることに頭が下がります。
jsato@otterhaus | 2011年08月14日 12:25
>くまがいさん
いっしょですよー、宮城県ですよー。
里ノ助、たしかに目立ってました。

>yukariさん
いらっしゃいませ。
動物園水族館は横のつながりがすごいですけど、それが見える形で実際に動いたのを見ると、ぐっと来ますね。

>kittoさん
実はわたしもうまく言葉にできてないんです。何がすごいと思ったのか、何に泣けたのか、その正体がよくわからないのですが、そこには絶対に何か大切なものがあるんですよ。動物園水族館の根本につながっている何か。

>Reiさん
一言、がんばってください、みたいな定型的なメッセージなら自分でも書けると思うのですが、それを越える強い言葉のいくつかには、心が動きました。施設はどんどん修復されて傷跡が見えにくくなってしまうので、こういう展示はずっと残してほしいものです。

>yooouさん
yooouさんも八木山、しかもご家族みんなで八木山でしたか^^。
一般に動物園のエサのストックは限られているそうで、人間の食糧すら確保が難しくなる震災直後の流通状況を考えれば、平常時の入手ルートは期待できません。そこでこういう他園からの支援が必要となるわけですね。
暖房用燃料や水(八木山は仙南広域水道で七ケ宿ダムからはるばる給水されているために復旧が遅れた)は、もっと大変だったそうです。
くまがい | 2011年08月14日 23:15
おやおや同郷でしたか!
昭和30年当時、広瀬川(宮沢橋付近)や貞山堀にニホンカワウソがいたのはご存じでしたか。

初動物園が八木山って事は、お若いんですね。
松島動物園が八木山に移転したのが、確か俺が小学校の5年生の頃だったと思います。

俺の初動物園は三居沢動物園でした、松島の動物園はもう少し大きな動物園でしたね。
帰りに五大堂の前でカメを買ってもらうのがうれしかったです。
jsato@otterhaus | 2011年08月15日 02:12
>くまがいさん
くまがいさんより9歳も若いですのよ。なので三居沢の動物園は知らない世代です・・・ってことは、わたしはできたてほやほやの八木山に連れて行かれた、ってことなんだなあ。じゃあ当時はむしろ松島のほうが充実してたのでしょうか。

広瀬川や貞山堀にニホンカワウソいたんですか!?
そんなの明治とか、少なくとも戦前の話だと思ってたので、かなり衝撃的なお話です!
くまがい | 2011年08月18日 03:41
三居沢は「子供動物園」に毛の生えた程度でした。
名前も「仙台市こども動物園」だったような・・・。
松島動物園はトラが逃げ出したこともあったのですよ。

俺のじいちゃんは釣りが好きで、よく貞山堀に釣りに行ってました。
釣りをしていると、ボコボコと水面が泡立ち、ポコッとオットセイみたいな顔が出てきた・・・とよく話してくれました。
広瀬川のカワウソは昭和10年代の話ですが、貞山堀はつい最近(と言っても昭和20年代〜35年頃)の話です。
その頃なら奥松島にも、カワウソ情報はありましたよ。

貞山堀は海に抜けられますので、高知県や宇和島市と同じで、連中は海に新天地を求めたのでしょうね。
だから、チロルとドナウが密かに三陸の海で・・・と願ったのですけれど・・・(笑)
jsato@otterhaus | 2011年08月20日 00:10
>くまがいさん
宮城県の動物園の歴史ってちゃんと知らなかったです。これはやばい。ちゃんと知っとかないと。

そうですか、貞山堀に奥松島ねえ。やつら、宮城県にもいたんですねえ・・・(遠い目)

やはり四国と同じ展開で、海に追われて行った、と。しかしチロルとドナウが逃げ出して・・・の話ですが、くまがいさんが組み立てるととんでもないリアリティが出そうでコワいです。朝鮮半島のDMZにカワウソがいるのと同じようなことが起きる可能性があった、って方向へ行くわけですよね?

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Where captive otters live in Japan.

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Junichi SATO

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[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
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