Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

徳島カワウソ・フライングオッターズ!

[ Three individuals of Oriental Small-clawed Otter are living at TOKUSHIMA MUNICIPAL ZOO. This spring they got a new acrylic pool which has full of invention. You can watch the swimming otters as if they were flying in the air. ]


とくしま動物園にこの春オープンしたカワウソ新施設「すいすいプール」をようやく見てきましたよ。

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うーん、こりゃすごい!

すでに旧聞なネタなので、説明は省略したい。この水槽いったいどうなっとるのか?という方のために、今までに詳しく紹介してくださってるみなさんのエントリを。ちょっと見てきてください。

かわうそ初心者のブログ : とくしま動物園 空飛ぶカワウソ
かわうそ初心者のブログ : とくしま動物園 空飛ぶカワウソ パートII

動物園でお散歩 : すいすいプール その1
動物園でお散歩 : すいすいプール その2 動画〜
動物園でお散歩 : すいすいプール その3


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ではあらためてもう一度。こりゃすごい!


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いちど着底(結構深いのよ)してから・・・


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びゅーん!

この浮上態勢って、カワウソの姿がもっとも美しく、そしてカワウソらしく見える瞬間のひとつだと思うな。

それと左の泡、実は人工的に常にプールの底から出てるもの。なかなか細かい工夫が施された水槽だ。カワウソはエラ呼吸するわけじゃないので、実用性というよりは演出効果をねらったものだと思う。でもこういう撮り方をしても、この人工の泡がカワウソが水中にいることを表象してくれる視覚記号になってくれる。面白い。


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一方、こちらはプールの天井部分。水深が浅いのでカワウソの腹部や足の裏がつぶさに観察できるという、実にすぐれた施設。


この件に関して、前に自分でコメントしてたことを思い出した。

Das Otterhaus 【カワウソ舎】 | 旭山どうぶつ・ペンギン忘れてた!

厚ければ厚いほど、深ければ深いほどいいんじゃないか、的な価値観の錯覚ってあるでしょ。でも4枚切りの厚切りトーストばっかり食べてると、ある日それしか売ってなくて仕方なくて買った8枚切りのサンドイッチ用の食パンをトーストしたらこれが結構おいしく感じたりして、実は薄い、浅い方がいい場合もあるよなあってことに気付かされるわけだ。そんな「マイナス補正」による新しい価値の出現の、すごくいい例になっているぞこの水槽は。


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ここまでの出演はオスのみらいくんでした。


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ここからはメスのゆめちゃん。


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実は泳いでいるというよりは、浅い水の上を滑っているような状態。もし水がなければアクリルが曇ったり、キズがついたりする(4枚上の写真の右側参照)ので、浅くてもとにかく水が張られていないとこの展示はうまくいかない。



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ふたたびみらいくん。ほんっとカワウソって胴が長いよなぁ。


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深い部分にもぐりに行くよ。


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深い部分の擬木の中身ははしごみたいになってて、そこに隠れたりもできる。


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この深い部分自体も実はそんなに水の厚みがないので、向こう側の風景がよく透けて見える「水の壁」が出現! というわけなのだ。この2枚の写真はあえて長手方向から撮っているので水っぽさが濃厚だけど、90度横から撮ると1、2枚目のような写真になる。


さて、ここまで褒めちぎったわけだけど、実はこの水槽、みらいくんとゆめちゃんはそんなに頻繁に行ってくれなかった。以前からある下のプールで泳ぐ方がずっと多い。カワウソのことだから、もう飽きたんじゃないか、ということも考えられなくもないけど、ひょっとすると水温の問題なんじゃないか。

従来のプールは地面に接しているので、おそらく地下水由来の水を循環させている限り、夏は冷たく冬は暖かいはず。それに対して「すいすいプール」は空中に架構されているので気温の影響をもろに受ける。そうすると夏はぬるく、冬は冷たくなる。そうすると春夏の気候のいい時期以外は、あまり利用されないんじゃないか・・・という余計な心配をしてしまった。でもすいすいプールだって相当量の循環をしてるはずだし、理由は水温の問題ではないところにあるのかも。

実は「すいすいプールには飛び込めない」という問題のほうが大きいのかもしれない。ゆめちゃんはとにかく水に飛び込むのが好きなのだ。

Trackback

カシワヤ | URL | 2011年08月28日 01:54
こんばんぴゃ!遠征お疲れさまでした。

この展示プール、動物園なのに水族館的なアプローチですよね、とても面白そう。
のとじま水族館のリバー水槽を半トンネル構造に進化させた感じ。
それにしても徳島の展示は放飼場とすいすいプールを行ったり来たりされると、
1人で撮影するには大変そうに感じますが、その辺はいかがだったでしょうか?
jsato@otterhaus | 2011年08月28日 08:39
>カシワヤさん
日プラさんが、既存のどのカワウソアクリルプールともかぶらないように工夫されたものと思われます。
http://www.nippura.com/cgi-local/re_list.cgi?4&2

行ったり来たりしてくれればさぞかし大変だったと思いますが、実際のところ、ゆめ&みらいは95%以上、地表にいらっしゃいましたw。

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Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

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Junichi SATO

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[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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