Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

市川カワウソ・お願いがあります

[ Today, I'd like to mention some questions in the way to keep small-clawed otters at Ichikawa Zoological and Botanical Garden. Some changes of playground from last year don't seem to be good for otter's QOL. It's observed that their stress which is caused by lack of enough playing make them to brake facilities and to struggle each other obviously. ]

120107_01
約1か月ぶりの市川市動植物園のコツメカワウソ。


120107_02
もちろん8頭とも元気にしてたんだけど、ちょっと気になることが。


120107_03
これ。ウッドデッキのかじられ方↑がものすごい。


11月下旬の様子を見てみて。

Das Otterhaus 【カワウソ舎】 | 市川カワウソ・ワンポイントガイド!

このときには全くかじられていないではないか。それが1か月ちょっとでこんなにボロボロになるまで噛まれている!


120107_04
どうしたんだきみたち。


120107_05
なに? 掘る砂がないって?


120107_06
掘る土がないって?


120107_07
若いカワウソたちは常にケンカするもんだけど、今日のきみたちは何だか必要以上にヒステリックだな。


120107_08
なぜそんなに殺伐としているんだ?


120107_09
何か足りないの?


120107_10
口がきければいいんだけど。


120107_11
たまたま葉っぱが1枚飛んできたら、奪い合いに。


120107_12
ムツキも何も言ってくれない。


実は、カワウソの担当者が交代してもう半年以上たつのだ。飼育方法やそのポリシーなど、担当者によって違いがあることは十分予想していたので、何か変化を発見してもこれまで何も書かないでいた。何といってもこちらは飼育一般に関しては100%の素人である。しかもせいぜい月に1度程度しか見ていないわけだから、何かを偉そうに言える立場にはない。しかし、今日、ちょっと考えが変わった。このまま何も言わないでいると、いつか取り返しのつかないところへ到達してしまうのではないか、という気がしたからである。彩りの乏しい、味のしない、鈍重な空気の占めるところ。このカワウソたちがそこへは行ってほしくない。

はっきり言ってしまおう。他の園館だって担当者の交代はあるが、これほど展示が不活性化する方向へ行った例を、これまでわたしは見たことがない。

いわゆる「エンリッチメント」をマイナス方向へ進めるとこうなるのではないか。動物が喜んで掘りまくっていた砂場を埋め、土をブロックで封じ、彼らの日々の仕事である「遊び」ができないような放飼場へ改変されてしまった。その代用となるはずのジャグリング(手遊び)の道具も、供与されているようには見えない。いじくりまわす対象を取り上げられてしまった動物は、代わりに施設を破壊するか、それができない場合は自分たちの体を破壊する方向へエネルギーを向けるしかなくなってしまうだろう。この「動物本位」の時代にあって、それに逆行するような改変(飼育下動物の生活における行動の選択肢を減らし、人間の管理の都合を優先している)がなされたことはたいへんに残念だ。あるいは他の種の動物には何か効果的な飼育手法なのかもしれないが、少なくともコツメカワウソという種に対してはQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下となっているいるようにしか見えない。

カワウソの行動特性に鑑み、放飼場の地面を以前の状態へ戻してほしい。それができないのなら、せめて遊具(小石や枝や葉っぱでかまわない)を大量に与えてもらえないものだろうか。




【追記 2012.1.13】
本日、市川市動植物園より、コツメカワウソの飼育環境整備に関して連絡をいただきました。詳細は下のコメント(Comment)に書きます。


Trackback

りお | 2012年01月08日 09:01
土も砂も小屋も小石も撤去。
コツメたちのヒステリーひどいですよね。
この台の柱、ご覧になりましたか?
まるでビーバーの展示場か?という状態まで齧ってますよね…
りお | 2012年01月08日 11:43
たびたびすみません。
これがその写真です↓
http://photozou.jp/photo/show/168972/116942358
jsato@otterhaus | 2012年01月08日 19:26
>りおさん
写真ありがとうございました。
はい、柱もかじられていることは見ていました。
11月にはすでにそんな感じだったので、これはやばいかな、と思ってました。しかしストレスによるものかどうかは確信が持てませんでした。しかし昨日の板のかじられ方その他を見て、これはもう異常行動のレベルに達している、と判断して記事にした次第です。
kitto | 2012年01月08日 20:45
皆さんのブログでお立ち台の写真を拝見して、昨年からとても気になっていたのですが、今回の佐藤さんのブログを読んで鳥肌がたちました。
怖いです。

砂場もなくなっているだなんて...
ちびっく | 2012年01月08日 22:02
先生こんばんは。砂場、なくなってしまったんですか?あーぁ…(゚д゚lll)
ところで、ムツキ達のご飯の時間は、今でも朝夕の2回ですか?
千葉zooフェスタの翌日は、朝ご飯の後、次は閉園後でした。普通、カワウソって日中はほぼ寝ているのに、ムツキ達は1日中寝る事がありませんでした。お腹も減ってかなり騒いでました。自然界ではご飯は食べたい時に摂るように思います。
「喰う、寝る、遊ぶ」のカワウソからしてみたら、今のとこ全てがストレスですよね。

って、ウソもぐれ1番の素人が思ったりしました。
カシワヤ | URL | 2012年01月08日 22:45
こんばんは。
先生のエントリーで踏ん切りが付きました。
先程市川市動植物園のWebサイトから市へ改善希望のメールを出しておきました。
以下はそのメールの全文です。

こんにちは、突然のメールで失礼します。
メールの内容はタイトルそのまんまなのですが、動植物園のカワウソ飼育環境の改善を求めるものです。
昨年春からカワウソの飼育環境が悪化の一歩をたどっています。業務の効率を優先するあまり、カワウソ達の遊び場である砂場を埋めたり遊び道具を奪い、その結果ストレスの溜まったカワウソ達がもたらしたのが設備の破壊行動です。かつてあった小屋をかじり壊し、いまは飼育場のウッドデッキをかじり壊そうとしています。カワウソが設備をかじり壊している状況を見て何も感じないのであれば、その方は動物飼育に向いていないのでは?と疑問に思わずにはいられません。
このままストレスのかかる状況が続けはカワウソ達の命にも関わる可能性があります。現に設備破壊と言う異常行動が出ている状況の改善を求めます。かつての様に生き生きとしたカワウソ達の姿がみたいです。よろしくお願いします。

へたくそな文章ですがなんとか伝わればと思いました。
初心者 | 2012年01月09日 00:12
こんばんは。市ウソたちに会ったのはたったの1回ですが、驚いたのは昼寝をしないこと、(一日雨の日だったんですが)濡れた毛がトラの縞模様だった事。
昼寝をしないのはお腹がへってるせいかな?と思いました。縞模様は毛の油分不足?砂場の撤去はウソたちの毛の改善のため?と、ふと思いました。でも皆さんが感じているようなQOLの低下なら心配ですね。
キーパーさんのお話が聞けたらいいのにな。
jsato@otterhaus | 2012年01月09日 03:02
>kittoさん、ちびっくさん、カシワヤさん、初心者さん
まとめレスで失礼。
他にも気付いたことがあったら、何なりと教えてください。とにかくこれ以上放っておくわけには行かない。
マキ | 2012年01月09日 10:32
おはようございます。
市川は今そんなことになっているのですか?!

11月には砂はあったと思うのであれから無くなったのでしょうか。
手作りの掲示が消えたのも担当が交代してから?
ガラガラガッシャ〜ンな水飲みバットが出てこないのも交代してから?

ムツキ一家にとって良い方向に動いて欲しいです。
yk | URL | 2012年01月09日 12:20
こんにちは
千葉zooフェスタの後、市川に行きましたが、確かに柱の囓られ方は尋常ではなかったです。水浴びのあと、くねくねしていた砂場もなくなっているなんて!

キーパーさんの事情は分かりませんが
カワウソにとって住みやすい環境になることを祈ります
kotsu_kotsume | URL | 2012年01月09日 21:48
こんばんは。

去年の春から根っこほり、小屋の破壊、ウッドデッキ柱カジリのような行為は、ストレスが溜まっているのではと心配してました。

ムツキ一家に良い環境を与えてください!
jsato@otterhaus | 2012年01月10日 00:29
>マキさん、ykさん、kotsu_kotsumeさん
まとめレスで失礼します。反応ありがとうございます。やはりみなさん展示に精彩がなくなってきていることを、いろんな点から感じてらっしゃった!
あ、「根っこ掘り」はコツメの場合、正常な行動かもしれません。それができなくなっている現状を問題視しています。
chaco | URL | 2012年01月10日 09:40
こんにちわ。
市川の様子を知って、心配でなりません。

まだ暑い時分にうかがった時に、
柱のがじがじが気になって(台の部分がぐらついていました)
レッサーパンダの赤ちゃんの名前をつけるアンケートに
「かわうその台を直してあげてください」と
イラスト入りで書いて箱に入れたことを思い出しました。

命を預かっているわけですから、
動物達が幸せに暮らせるように責任をもって
飼育していただけることを望みたいです。
はまうそ | 2012年01月10日 23:27
こんばんは。
皆さんのカワウソへの愛情、アツイですね。

夏頃は毎週通っていたのですが、ボンタ・ゴンタ家に浮気しておりました。
久しぶりに先月9日に訪れたのですが、やはり相方共に、何か様子がおかしいと感じました。
砂場の砂がなくなっていて、柱がかじられ、濡れた毛が貧相に見える。そういえば午後はよく昼寝をしていたはずなのに。
皆さんのご指摘と一致します。
家族内の殺伐とした雰囲気までは感じなかったのですが、泳ぐとよく土管を中心にして遊んでいたのに、それがありませんでした(たまたま?)。

今回の写真で驚いたのが、デッキがかじられていること。確か先月はそこまでいっていなかったと思うのですが。
自分たちの体を傷つけるようなことになっては、本当に取り返しがつかなくなりますね。
ひっぱくしているようです。
つまき♪ | 2012年01月12日 13:31
記事と皆さんのコメントに感動と勇気を頂きました!
カワウソさんたちと飼育員さんと来園者ががともに笑顔になれるアイデアを皆で考え、遠慮なく伝えてゆけたらいいと思います♪
私は素人・一般人の「感覚」は正しい部分があると思っていますので、自分でも何か考えたいと思います^^
jsato@otterhaus | 2012年01月13日 17:18
>chacoさん、はまうそさん、つまき♪さん
まとめレスで失礼します。ご心配をおかけしております(わたしが言うと変だな???)
みなさん本当にちゃんと見てらっしゃるし、気付いてらっしゃるし、何らかの形で指摘もしていらっしゃる。素晴らしいことだなあと思います。
この道(?)で活動を続けておられるつまき♪さんにも知っていただけてよかった。
jsato@otterhaus | 2012年01月13日 17:30
本日、市川市動植物園から連絡をいただきました。
それによると、すでに改善に着手してくれているそうです!

1. 砂場の復活(1月11日に改善済み)
2. ウッドデッキ改築(2週間以内)
3. 遊具の供与(素材を吟味の上、早急に)
4. 毛皮を乾かせる環境の整備(早急に)
5. その他、えさや獣舎の再検討

大変に速いスピードで、かつ全面的に対処していただけたことに驚きました。市川市動植物園のファン、そしてカワウソファンのみなさんが、さまざまな形で気持ちを合わせることで、それが通じたのだと思います。この先の推移をみんなで見守って行きましょう。
つまき♪ | 2012年01月13日 18:04
す、すばらしいじゃないですか!♪
皆さんの想いと行動のたまものですね!
直接お話すべく市川に行こうと段取りしてましたが、別の意味ですごく楽しみになりました^^
動いてくれた現場の皆さんのことも是非評価してあげてほしいです。
そうすると、「改善してよかった」と思うでしょうし、「もっとやろうかな」という気持ちにもなると思いますので♪
jsato@otterhaus | 2012年01月15日 00:08
>つまき♪さん
さっそく確認に行ってきました。
でもまだ話が終わったわけではないので、ここはぜひ、経験豊かなつまき♪さんにも出動願いたいと思っております。
佐藤 | 評価 3 | 2014年05月31日 20:02
それ以外にもなかよし広場もひどいですね!
ふれあいの時間が決まってなくモルモットがストレスだらけです!
改善してほしいです。
jsato@otterhaus | 2014年06月01日 14:35
>佐藤さん
コメントありがとうございます。しかしここに書き込まれても市川市動植物園に伝わることはありません。もし具体的な問題点がありましたら、市川市の「市民の意見箱」(https://community1.city.ichikawa.chiba.jp/sneeds.nsf/WebToukou?OpenForm)というページから、連絡されてみてはいかがでしょうか。

おやすみ前にこの一冊・・・
160px_kawauso_book
東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

動物園・水族館・生息地

[動物園・水族館・生息地ごとの記事アーカイブ。カワウソ中心ですが、たまにほかの動物も出ます]

月別アーカイブ
カテゴリ別アーカイブ
記事検索
タグ絞り込み検索
Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

 Biography + Bibliography
(展覧会と各種掲載リスト)


 Floodgates

 Twitter : otterhaus
 Facebook : otterhaus
 Tumblr : otterhaus
 Tumblr : otterhausanbau
 Flickr : Otterhaus

* 依然として記事の内容に無関係なスパム的書き込みが多いため、各記事に対する新規コメントは現在、受け付けておりません。ご連絡はFacebook、Twitterをご利用いただければ幸いです。


キュイキュイ書房
カワウソ本とカワウソグッズの密林セレクトショップ♪

かわうそ店長、とってもハマります。すでに9巻まで出てるよ。

かわうその自転車屋さん 1 (芳文社コミックス)
かわうその自転車屋さん 1 (芳文社コミックス) [コミック]

こやまけいこ
芳文社
2014-10-16


酒ケーキもいいんだけど、せんべいの方がもっといいよ獺祭。

旭酒造 獺祭 煎餅 だっさい せんべい 山田錦の砕米で作りました 30枚入り
旭酒造 獺祭 煎餅 だっさい せんべい 山田錦の砕米で作りました 30枚入り [その他]
旭酒造


世界13種のカワウソが網羅されているすばらしい入門書が出ました。写真もいっぱい!

Otters of the World
Otters of the World


ハンザのぬいぐるみが各種、買えるようになってますよ。
カワウソ No.3320
カワウソ No.3320 [おもちゃ&ホビー]


フィギュアはシュライヒが造りがいいですね(なぜか最近すごい値段になってる!)。
Schleich シュライヒ カワウソ
Schleich シュライヒ カワウソ


かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)
かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)


かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)
かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)


かわうそ3きょうだい (えほんひろば)
かわうそ3きょうだい (えほんひろば)


空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)
空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)


ぼく、およげないの
ぼく、およげないの


ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学
ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学


Otter (Animal)
Otter (Animal)


Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)
Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)


カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))
カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))


The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother
The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother


椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
椋鳩十全集〈20〉カワウソの海


ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)


河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅

・・・
わたしの本も、ついでにいかがでしょう?


カワウソ

おそらく日本初の、カワウソだけ写真集


ドボク・サミット
ドボク・サミット

みんなで作ったドボク本



恋する水門―FLOODGATES

一家に一冊!世界初の水門写真集


Das Otterhaus 【カワウソ舎】