Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

日本最北の水族館

[ The northernmost aquarium of Japan is here. Wakkanai Noshappu Aquarium's highlight is Spotted seal exhibit. ]

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昔から、北海道を訪ねるのは冬でなければならない、という妙な思い込みがある。誰かに言われたわけではなく、自分としてはそういうことになっちゃっているのである。


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というわけで、今日はみごとな吹雪っぷりだ。北の厳しい天候に遭遇し、こちらの気合も入ろうというもの。


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稚内市街地のはずれにある稚内市ノシャップ寒流水族館。日本で最も北にある水族館だ。


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こんな時期の、しかも平日にも開館しているというのはありがたい。


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入るとすぐにゴマフアザラシのプールがある。


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静止している水はすべて凍るので、ご覧の通り氷塊の上にゴマちゃんたちがゴロゴロしているだけの、簡素な展示だ。

わたしも今まで、だいぶあちこちでアザラシの展示を見てきたつもりだが、これは今まで見たうちで最高にナチュラルなものである。実はこのプールのどこかに穴があって、すぐ外の海と出入り自由になっているのだと言われてもたぶん信じる(本当にそうなっているわけではない)。


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こじんまりとした本館は、何と言うかいわゆる懐かしい水族館である。列車窓タイプの水槽が並ぶ。個人的にはこういう古典的な水族館に入ると、食欲がそそられる。活魚店の生簀の前に立つのとあまり変わらないからか。


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びっくりしたのがこの回遊水槽。淡水魚のイトウが、海水魚といっしょに泳いでいる。イトウの方を海水に慣らしてから同居させるのだそうだ。魚の体って結構フレキシブルなものだなと思う。


さて、ノシャップ寒流水族館は、稚内市青少年科学館と一体化しており、水族館の入場券で科学館の方にも自由に出入りできる。これはうれしい。

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この科学館の目玉展示は、南極観測にまつわるものである。

なぜ日本の北の果てに方向が正反対である南極の展示があるのかというと、あの有名なタロとジロを始めとする、樺太犬の訓練が行われたのが稚内だからなのだった。なるほど。

広くはないものの、なかなか気合の入った見ごたえのある展示であった。別館になっている南極越冬隊資料館というのが整備中で見られなかったのは残念である。



そして、ここにはもうひとつ目玉があった!

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五藤光学 GX-10T。

道内でいちばん古いプラネタリウムだそうである。もちろん日本最北のプラネタリウムでもあることは言うまでもない。

番組を2本も見せていただいたのだが、何と2回目の方は「ひとりで貸切」であった。

外は地吹雪、ゴマちゃんゴロゴロ。館内では独り占めで南極の夜空の星々を堪能する。こんな贅沢が世の中にあることを今まで知らなかった。これでたったの500円は、実に申し訳ない気がする。

プラネタリウムにはまったく詳しくないのだが、昔ながらの光学式投影機がどーんと据えられた姿はやはりそそられる。


そしてプラネタリウム鑑賞の合間に、ゴマフアザラシ。

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幼獣プールに2頭。


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幼獣と言っても、もうだいぶ大きいのだけど。


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吹雪でも爆睡。実にたくましい。


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そろそろ起きてみるか、的な。


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だるまっぽい。


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水族館の外はすぐに宗谷海峡の海だ。あ、宗谷海峡って国際的にはラペルーズ海峡(La Perouse Strait)って言うのだそうですね。知らなかった。


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何ともナチュラルで、そしてたくましい。


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幼獣プールの子たちが声を上げるので、1頭が寄って行く。親だろうか。


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何でもないことがわかって、すぐにターン。


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お腹を使って雪滑り。と言ってもアザラシの場合、移動は常に雪滑り状態だが。


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ずざーっ


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決まった!


最後に蛇足ながらひと口情報。館内には食堂のようなものはありません。周辺は観光地ですが、この時期はお店も開いてませんので、長時間の滞在を予定されている方は食料を持参してください。もっとも市街地までのバスは結構本数があるので安心です。


【次回予告】次はひさびさの釧路市動物園。カナダカワウソをお楽しみに。

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Where captive otters live in Japan.

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Junichi SATO

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[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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