Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

Look around


Sato Jun Ichi
Photos provided by Panoramio. Photos are under the copyright of their owners.



ドイツ、ニーダーフィノウの運河エレベータ。鳥肌が立つほどの鉄骨の集合体。

それはいいんだけど、ちょっと、これ↓いじってみて。

http://nv0.panoramio.com/navigate.php?id=15776695

Panoramioの「Look around」という実験機能。

同じ対象を撮って、複数の人間がバラバラにアップロードした写真が、不思議な仕方で関連付けられている。って書いても何のことだかわかんないから、とにかくやってみて(笑)。

みんな同じとこから撮ってるなあ、という感じもするし、そこからも撮れるんだったか、みたいにも思える。

他人の撮った写真を使って自分の記憶が再構成される、ような感覚もある。場所の記憶と時間(日や時刻や季節)の記憶が便宜上、分離できるとしたら、場所の記憶の方は意外に簡単に共有できそうにも思える。


この世に生まれて以来、人と同じもん撮ってもしょうがねえじゃん、と基本的に思ってここまで来たのだが、人と同じもの撮ってても面白いことがあるもんだなあ、と、はじめて思えた。

ちょっとびっくりした。
目から分厚いウロコが落ちた。

授賞式

宮城県芸術選奨、というのをいただいた。

賞なんてものをもらうのは、考えてみると中学生のとき以来だ。担任の先生が勝手に応募しちゃった作文コンクールで、市長賞をもらった。

何を書いたのかほとんど覚えていないが、古墳ばっかりある土地なので、いっそのこと古墳をぜんぶ公園にして世界に名を売ったらどうか、みたいなコンセプトだったような気がする。今にして思えば中学生の作文というよりは町づくりコンサルタントのプロポーザルである。でもその後、古墳が本当に公園になっているところを見ると、少しはわたしのプロポーザルを参考にしたのではないかと思う。コンサル料もらってないんだが。


話がそれた。それで一昨日、その授賞式に行って来た。


大地震の直後でそんなことやってる場合ではないのではないか、という気もしたが仙台はいたって平常であり、やはりあのへんの人は地震に強い。というか宮城県は意外に広いということなのだった。北部であんなに凄まじい被害が出てるのに南部は別に何ともない。大地震は確実に来るし、次はどこに来るかわからない、とみんな身にしみて思っているから、東京より備えもいろいろ充実しているのだと思う。日本の建築物の基本的な性格であるスクラップアンドビルド、というのは、地震多発地帯にあっては仕方のないやり方であったのだな、などということを考えずはにいられなかったり。


話を戻す。授賞式だ。


授賞式自体は特に変わったものではなかったのだが、大変に面白い体験をした。以前からぜひ一度お会いしたいと思っていた、「テノール歌手の佐藤淳一さん」とお会いすることができたのだ!

公式ページがないようなので、こちらを見てね。

同姓同名(字までいっしょ)の人と名刺交換をするのはとってもワンダーな感じのする瞬間である。佐藤淳一さんは仙台を本拠地として演奏活動をされると同時に、大学でも教えておられる素敵な方だった。ああいう方が佐藤淳一さんで本当に良かった。わたしは自分の名前はあまり好きではなかったのだが、ちょっと考えが変わってきた。世の中には各分野で活躍中の佐藤淳一さんがまだまだ何人もいらっしゃるので、そのうちみなさんとお会いしてみたいと思う。ドボクサミットの次は佐藤淳一サミットか。


授賞式の話だった。


いただいた芸術選奨は美術[写真]なる部門である。他の部門はみなさん巨匠レベルの作家さんばかりで、わたしはこの歳にしてこんな立派な賞をもらってしまってどうしよう、という感じである。もうアガりかとかバカなこと言ってないで写真作家としてもっといい仕事しよう、と思ったのだった。われながら殊勝である。

殊勝かどうかはさて置き、宮城県の水門は10年前にざっと回ったけど、これを機会にもう一度撮りに回りたいと思っている。宮城県はドボク的にはこれでなかなか凄いのである。日本最長運河である貞山運河全区間踏破とか、やってみたいことはまだまだあるのだ。


【追記】
授賞式の様子が宮城県のサイトに出ている。前列は佐藤淳一さん(左端)と佐藤淳一(右端)でみなさんを挟んでしまった。実に素晴らしいフォーメーション。

単純反復の効き方

080320

利根大堰

36.189282,139.473216

「単純反復」が好きになってきた今日この頃である。

しかし前に橋を撮るのは難しいと書いてみたのだが、ご覧のような大規模可動堰などは、橋と全く同じ撮り方をせねばならない。そうするとやっぱり空やら水面やらが盛大に写り込んでしまい、まんまと美しいフォトジェニック写真が完成してしまって失敗だ。

いったいフォトジェニックって、要するに何なんだ?

photogenic
【形】 写真写りの良い、写真向きの、画面映えのする、発光する
・ She's photogenic. 彼女は写真写りがいい。
http://eow.alc.co.jp/photogenic/UTF-8/?ref=sa

あらん。わたしは「写真写りのいい写真」を避けているんだったか。40年以上生きていると、人間はいろいろと不可解なことをやるもんだ、などと感心している場合ではない、フォトジェニックの話を書こうと思ったわけではなくて、単純反復である。

岡田昌彰著『テクノスケープ』によれば、単純反復はミニマルアートの大きな特徴であり(p.140)、その異化作用が、もともと単純反復の起きやすい工業的な構造物へのまなざしにおいても現れることを指摘している(p.164)。また単純反復の効果は、
「構成単位の形骸化と反復秩序の強調」「構成単位の持つ記号内容(意味内容)の希薄化」にあるとする(p.141)。

そうであるとすると、実は単純反復とフォトジェニックは絡みあっているのだった。

橋や大規模可動堰のように単純反復が線的に並ぶ場合、写真フレームが一般的な比率である限り、中心主題である単純反復構造物が意味を希薄化させればさせるほどに、その上下に発生する空間(主として自然現象)が目を引くようになり、その結果として画面全体の印象は、単純反復のない場合にくらべてむしろフォトジェニックの度合いが高くなってしまうのだ。

高層建築物や壁面や法面のコンクリート処理のように単純反復が面的に並ぶ場合は、これが起こりにくくて、撮れば撮っただけ単純反復の効果が大いに効きまくり、実にいい感じだ。

なんかすごいいいことを思いついたような気がしたのだが、書いてみたらぜんぜん大したことないじゃん。

おやすみ前にこの一冊・・・
160px_kawauso_book
東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

動物園・水族館・生息地

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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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酒ケーキもいいんだけど、せんべいの方がもっといいよ獺祭。

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世界13種のカワウソが網羅されているすばらしい入門書が出ました。写真もいっぱい!

Otters of the World
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ハンザのぬいぐるみが各種、買えるようになってますよ。
カワウソ No.3320
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フィギュアはシュライヒが造りがいいですね(なぜか最近すごい値段になってる!)。
Schleich シュライヒ カワウソ
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かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)
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かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)
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かわうそ3きょうだい (えほんひろば)
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空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)
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ぼく、およげないの
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ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学
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Otter (Animal)
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Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)
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カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))
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The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother
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椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
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ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
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河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
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・・・
わたしの本も、ついでにいかがでしょう?


カワウソ

おそらく日本初の、カワウソだけ写真集


ドボク・サミット
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みんなで作ったドボク本



恋する水門―FLOODGATES

一家に一冊!世界初の水門写真集


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