Das Otterhaus 【カワウソ舎】旧サイト

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

横浜のベルリン

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横浜の街中の道路標識。真っ直ぐ行くとベルリン。右折するとミュンヘン、ってまたえらくアバウトだな。じゃあ左はハンブルクかよ。

松波さんのガイドで横浜を歩いてきた。明治時代の国道1号に相当するルートをフィールドワーク、だ。

実を言うと横浜って変だ、とずっと思ってた。

あの横浜駅のわけのわからない複雑な構造をはじめとして、分散した中心市街地間のよくわからないアクセシビリティ、ちょっと海岸から離れるといきなり山になる地形などなど、何というか一般的な街歩きのセオリーがおよそ通用しない。だから慣れるまでかなり迷った。みなとみらい線ができてかなりマシになったが。

でも自分以外の人はみんな横浜に対して文句言ったりしない。どうしてあんな変な街をみんな普通に楽しめるのか不思議。港町なんてどこもそんなもんだよと言われそうだが、どうせ港町育ちじゃないからその辺は理解不能。

別に横浜がキライだって言ってるんじゃないよ。変だ、って言ってるだけだ。変だ、っていうのはわたしの場合はかなりの高率で褒め言葉だ。道に迷って上等、である。なんだそりゃ。


さて明治期の国道1号に相当する区間は、新橋〜横浜の鉄道用地として埋立てた部分を通っている。松波さんに教えてもらったのがこれ。横浜のあたりを拡大して見てほしい。もっとおおざっぱに理解したい人はこっちがいいかも。

そう。今の横浜駅の山側って思いっきり沼だったのだ。横浜駅(今の横浜駅は場所が二度移っていて、駅としては3代目)は埋立地にのびのびと作られており、無計画にどんどん機能を追加していったため、あれだけわけのわからない構造になっているのだった。やはりあの構造だけはやはり何とかしてほしいと思う。いっそすっきりした4代目を作って移転してみてはどうか。

暗くなるまで歩いていたら、最後に「国道133号、コンプリートしました」と言われた。今まで国道全区間踏破をしたことがなかった(たぶん)ので、みんなで盛り上がった。

今、地図を見たら、国道133号の起終点に行っただけであって、全部歩いて通ったわけじゃなかった。

東京湾岸丘陵地帯

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中防に行ってきた。ちゅーぼー。

中央防波堤内側埋立地、中央防波堤外側埋立処分場、新海面処分場、というのが正式な名前らしい。略して中防。東京都内最後の埋立地と言われている。

GPS絵師の石川さんがいつも、江東区(とかそのへん)で最も標高の高い土地は中防だからぜひ行こう!と言ってて。で、カシミールで見せてもらうと確かに中防の一部は山の手なみに標高が高い。何かの間違いじゃないのと思うほどだ。30メートルちょいあるそうだ。

中防がもし真っ平らなだけの埋立地だったら、あまり行ってみたいとは思わない。でも丘のようになっていると聞いたら興味が湧いてきた。そしたら壁クイーンの杉浦さんがツアー参加の算段をしてくれていた。渡りに船、じゃなくてわれわれは海底トンネルを通って上陸した。いつのまにか一般車も通れるようになっていたのだ。


しかし、だ。お台場とか青海とか、湾岸の見慣れた街の先に、こんな荒野な丘陵地帯があったとはなあ。

東京も捨てたもんじゃないな。土地は「捨てたもん」でできてるけど。


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中のゴミ見えちゃてるけどね。あまり気にならないよ。とにかく今は丘を感じることが重要だ。

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こんな標識が出てる。「皮くず」って何だ?とか一瞬思うけど。それより今日は丘を見に来たんだ。

081001d

先端部ではこんな感じで、今もせっせと丘陵を作っている。

この丘は50〜70年かけて沈み、安定した土地になるのだそうだ。自分が生きているうちに結果が見えないというのは実に土木的時間感覚。


中防の中の人はしきりに「この埋立地はあと50年でいっぱいになるよ(だからゴミ減らせ)」と危機感をあおるのだが、丘陵のはずれにある展望台(ちょっとにおう)から埋立進行中の新海面処分場を見ていると、早くいっぱいになって陸地にならないかなあ、とすら思えてくる。


自分的には、


「目の前で新しい土地が誕生しているじゃないか。喜ばしい」


という生成のパワーに満ちた天地創造的価値感が、「処分場がいっぱいになったらもうゴミ捨てる場所がなくなって困ったことになる」という現実的悲観的予測に基づく社会的倫理的価値感に勝ってしまっていた。

おそらくオランダを見てしまったからだろう。海を埋め立てて陸を作ることに対するオランダ人の無闇な情熱に、半ば辟易しつつも感動したせいだと思う。オランダ人たちに中防見せてやりたい、と思った。ゴミで土地作れるもんね、というような自慢は微妙な感じだけど。

そうそう、中防の予習をしてた時にこんなの見つけた。

中央防波堤の賃貸住宅


【追記】
chubo360 | chubo02
30mのサンドイッチ
都内の大平原
懐かしい島。

そっか!
中防の風景に血が騒ぐのは、いわゆる原風景的な記憶との照合が起きるためだった。自分も人格形成期とその後しばらく、高低差のある地形(丘陵に造成中の新興住宅地を出入りするような通学路、とか)の中で暮らしてた。そういえばスリバチもあったし階段もいっぱいあったわ。どうりでその辺に興奮するわけだ。

陸封船のあと

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ちょっと前の千葉市稲毛海岸付近の地図である。

中央にササカマボコみたいな形の「海洋公民館」というのがある。これは稲毛海岸が埋め立てられる時に、船をつないだままその周囲の海を少し残して埋め立て、船体を公民館として使っていたものだ。いわば陸封された船なのだが、今はもうない。

先日、このあたりを10年ぶりで通りかかった。すでに海洋公民館は解体撤去されていることは知ってたのだが、いざ下のような風景を見ると、ああほんとにもうないんだな、と少し寂しい気がした。何か別のものが建っていればまた違って見えたのかもしれないが、ほんとに何もなくなってしまったので、うすら寂しい。

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解体しちゃったものは仕方ないか。以上終わり、なんだけど、そういえばそのことを昔、ウェブサイトに書いたぞ、という余計な記憶がよみがえってきた。もちろん当時はブログなんて便利なものはないので、更新のたびにHTMLファイルを書き足していた。あれはどうなったんだろう。サイトが複雑になったのを嫌って、何かのタイミングでばっさり消してしまったものだったか。よせばいいのに昔のMOディスクなどを漁って、控えのファイルを発掘し、サーバに上げ直してみた。別に生産的な意味は全くない。何となく、だ。夏の日の心の迷い、というやつだ。

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当時の写真↑。

先日撮った写真と、背景の団地(高洲第二団地)がおんなじ位置に来たのは意図せぬ偶然。まだデジカメ化以前で、フィルムスキャナで読み込んでウェブの日記に貼る写真なんて、こんなサイズだったよ。ポジからだとスキャン画像はこのようにコントラストが高く、つぶれて大変だったことを思い出した。もう一度読み直そうにも、手元にフィルムスキャナーがない。

http://www.kohan-studio.com/org/texts/maibotsu/9711/maibotsu.html

リンク張っては見たものの、わざわざ読みに行くのも面倒と思うので、上げ直した当時の日記から自己引用してしまおう。

手前の船は千葉市海洋公民館。昭和19年に海防艦「志賀」として誕生し、その後博多〜釜山の米軍連絡船、中央気象台定点観測船、海上保安大学校練習船を経て昭和40年に廃船。千葉市が払い下げを受けて改装し、翌年公民館として利用開始した。これだけであればまあまあありそうな話で、わざわざ見にいくようなものでもなかろう。面白味は、この船の公民館が係留されていた稲毛海岸一帯が、昭和44年から埋め立てられてしまうところにある。この船の周囲だけ海を残して、周囲が埋め立てられてしまったわけである。今でもこの船は、海岸線から2キロほど陸側で海に浮かんでいる、という構図だ。1万分の1の地図であれば、全長79メートル足らずのこの船の形状は、しっかり地図上に刻み付けられてしまう。地図に捕捉されてしまった船というのも、何だか微笑ましいような情けないような姿ではある。

実際に行ってみると(10月10日)、思っていたほど違和感はなかった。一応海だと信じていた船の周囲も、やはり本当の海であるわけもなく、申し訳程度の深さの水たまりにすぎない。つまりすでに座礁しているのだ。水もなめてこそみなかったが、おそらく隣のプールと同じ出所の水なのだろう。そりゃそうだろう。周りは住宅団地なのだ。安全を考えないわけにはいかない。現在、公民館としての利用は停止しており、あるいはこのまま解体されてしまう運命なのかも。(1997/11/1)


今はこの船の名前「こじま」だけが公園の名前になって残っているんだけど、何が「こじま」なんだか何でここに船があったのか、とかそういうことはどんどん忘れ去られていくわけだ。船が載っていたプールの部分だけが少し低地になっていて、「環境ノイズ」になっている。

志賀 (海防艦) - Wikipediaによると、この翌年(1998年)に解体されたんだそうな。


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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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