Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

オオカワウソ探索5@ブラジル

[ The final day at Cantão state park. We finally managed to contact Giant otters! Giant otters are easy to identify individuals by their throat marks. So, temporarily, I call left one A and right one B. This article will continue. ]

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お待たせしました。今日はついにオオカワウソが登場します。


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探索3日目の朝。左のはハチドリですね。遠すぎて種名まではわからん。

われわれがカンタオ州立公園に滞在するのは、いよいよ本日の夕方までとなりました。トカンチンス州環境局のVIP待遇で来ているので、いろいろよくしてもらってますが、それだけには予定に従わなければならないのであった。「オオカワウソ出るまでオレは帰らん!」みたいなワガママは許されない。したがって今日はもう何としてでもオオカワウソに会わなければいけない。もうとにかく気合だ気合だ気合だ。


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朝からかっこいい鳥。前にも出ましたキュラソー(Bare-faced curassow)。


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朝から派手な鳥。キエリヒメコンゴウインコ(Golden-collared macaw / Yellow-collared macaw)。


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こういう原色ブチマケたような鳥が出ると、心拍数上がるよねえ。


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あー、ひたすらかっこいいねえ。


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群れてるのはパラキートの一種か(Peach-fronted parakeetかな)。



・・・



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さあ、ではでは気合いを入れて、今日もオオカワウソエリアに突入!


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でっけえ巣!


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実は今日の探索は、オオカワウソ研究者のベナイアさんが一緒です。つうか彼女が仕掛けているトラップカメラの交換作業に便乗してくっついて来たわけですが。


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トラップカメラです。これでオオカワウソのプライベートなはずかしい姿、なんかもばっちり撮れてしまいます。はっきり言ってハイテクですが、交換だけはいちいち人力です。


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実はこのスポットは一昨日も来てるのだった。あの「新鮮なフン場で、しっぽだけ見えた」場所。


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ベナイアさん、さっそくオオカワウソを発見!

わたしにはぜ〜んぜん見えないので、彼女のファインダーを撮っているあたりが情けない。


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ようやくわたしもスポット成功!

対岸の木の陰、あっちむいている頭がふたつ!見えます見えます。ついに出たなオオカワウソ!!!


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あ〜っ、こっちへ来そうです。


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われわれも忍び足で、岸からちょっと高くなってるところへ移動。まだ気付かれてないかな。


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ん?


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あ、バレたw


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さすがカワウソだけあって好奇心旺盛。ブルブル言いながら、近づいてきます。


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み゛ー!(威嚇音)。


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出ました!テレスコーピング!!!
これぞオオカワウソ、という特徴的な行動です。

2頭だけなので、個体識別してみましょう。
一番はじめの写真で左にいた方を仮にAちゃん、右にいた方をBちゃんとします。

Aちゃんはノドの模様(Throat mark)の明るい部分が多く、上唇にピンクの部分があります。Bちゃんはノドの模様は暗い部分が多く、上唇が一様に黒っぽい。これだけでだいたい区別できそうです。

ここまでのアップの3枚は、ぜんぶBちゃん。


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Aちゃん。


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前がAちゃん、後がBちゃん。


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Aちゃん。


つづきます!

オオカワウソ探索1@ブラジル

[ In mid-August, I participated in International Otter Congress in Rio de Janeiro. After the congress, a tour was organized. This Post-Congress Tour aimed to visit a habitat of Giant otters in Cantão state park in the central part of Brazil. This story will continue for several times. ]

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ついに行ってきました地球の裏側。じゃなくて反対側。前回の記事で書いたように、8月中旬、ブラジルはリオデジャネイロで行われた第12回国際カワウソ会議に参加し、ついでにその会議後の大型エクスカーション企画である、カンタオ州立公園でオオカワウソ生息地に分け入るツアーにもまぜてもらいました。

ところで私事で恐縮ですが、わたしはラテン音楽は全般的にキライではなくて、マンボ、チャチャチャの類からサルサ、YOSHIRO広石からピアソラまで、今までまあいろいろと聞いてまいりました。しかし、サンバとボサノバだけはなぜか肌に合わなかったので、人生においてキューバやアルゼンチンに行くことはあっても、ブラジルにだけは行かんだろうな、と何となく思ってました数年前まで。


しかし、オオカワウソが変えたわたしの人生。


2年前にドイツでのオオカワウソを飼育している4つの動物園を一気に訪ねてからというもの、いわゆるふつうのカワウソの愛らしさとは一線を画したオオカワウソの宇宙的な存在感にすっかりやられてしまい、ブラジルだろうと何だろうと彼らのお住まいにぜひ一度、お邪魔してみたい、という気持ちになっていたのでありました。


というわけで8月中旬、ブラジルはトカンチンス州の州都、パルマスからオオカワウソの旅は始まります。


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だいたいブラジルの州なんてアマゾンぐらいしか知らなかったので、トカンチンス?どこだそれ?という感じでしたがそれもそのはず、トカンチンス州自体がまだできてから20年ぐらいしかたっていないのであった。考えてみてください。日本で、平成になってから新しい県ができました!っていう事態を。ほぼありえないですね。そのありえなさがそのままトカンチンス州です。あ、実際この写真のような、何もないところだった。


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だんだん道がアーシーになっていくのは気のせいでしょうか。


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で、これまた予習不足で申し訳ないのですが、ここいらあたりの植生はCerrado(セラード、ではなくて、せはぁーど、というのが本場の発音)という、アフリカで言ったらまあサバンナみたいなものなのでした。背の低い草が一面に生い茂り、ヤシ科から広葉樹までいろいろな木が、まばらに生えていてかっこいい。


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何もない、と言いましたがたまに牧場(ウシ)があります。大豆畑やトウモロコシ畑なんかもあります。


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これがわれわれをパルマスの空港からカンタオ州立公園まで運んでくれたナチュラチンス号。というかトカンチンス州環境省の車なのだ。何と言っても国際会議の参加者だから、VIP待遇であります。これでわれわれはきっと州内どこでもフリーパス!にちがいない。


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そのナチュラチンス号に揺られること3時間あまり。いよいよカンタオ州立公園に入ります。魚取るな、鉄砲打つな、植物とかも取るな、な保全エリアの入口。



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地図の右がトカンチンス州全体を表わしています。真ん中にある濃い部分がパルマス。で、左の黄緑の部分はカンタオの拡大図で、州の西のはずれ、アラグアイア川に接したエリアになっています。実はここ、アラグアイア川の巨大な中洲(バナナル島)であって、何でもそのバナナル島って河川の島としては世界最大の大きさなのだとか。すごいんだかそうでもないんだかよくわからない、地味な世界一ですな。

島の大きさはさておき、ここカンタオのすごさはまた別の部分にあります。

ここは3つの植生のちょうど境界にあたっているのであった。3つの植生とは、まずさっき通ってきたCerrado、それとアラグアイア川の左岸より西に広がるアマゾン浸水林(Igapó)、それと南西部から先に広がるのがパンタナール(Pantanal)だ。

つまり、ここに来るとそれら全部の景観を見ることができるってこと。もちろん動物についても、だ。おお、これこそすごいというかお得というか。突然ですが、仙台の名物で三色最中というのがあるんだけど、カンタオは植生の三色最中と言ってしまっていいだろう。いいだろう、と言われても困ると思うけど。


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で、こちらがビジターセンター。


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現地で研究&保全活動をされており、カワウソ会議にも参加されているアラグアイア協会(Instituto Araguaia)のジルバーナ博士がよく通る声で解説してくれます。

それによると、この周辺には乾期に現われる湖(いわゆる河跡湖とか三日月湖の類か)があちこちに点在しており、オオカワウソの巣もそこにあるのだそうだ。明日からその湖をいくつか回ってみましょう、的な予定になってるらしい。


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で、とにかくオオカワウソだ。

オオカワウソはポルトガル語でAriranha。ありら〜にゃ!


あ、あらかじめ言ってきますけど、今回のこの探索記事でもそう簡単にカワウソは出て来ません。何回シリーズになるのかも全くわからないで書いています。気長にお待ちください。


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んでこの変な鳥がホーアチン。鳥なのに葉っぱを食べる。したがって消化のために胃が2つある。ヒナは泳げる、つうか潜水が得意で、爪で木をよじ登ったりする。かなり変な鳥ですが、これもここいらの名物とのことです。実際、ちょくちょくお会いすることになりました。


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ひっそりとおみやげコーナー。ピラルク?とオオカワウソ。小オオカワウソと大オオカワウソ。




というわけで1日目はここで終了。




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翌朝は夜明け前から行動開始。レンジャーさんたちがボートを準備しています。ここではボートがないと動けません。


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ここからボート乗ります。


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アラグアイア川の朝。暑くも寒くもない気温で、案外快適。


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しゅっぱーつ!


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でも飛ばすと結構、寒い感じです。ここは本流なので、乾期とはいえ水深はそれほど浅くないっぽい。


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ちょくちょく出てくるのがこの黄色い花の木。ブラジルの国の木、なんだそうな。


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かっこいい景観。


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で、そこかしこに鳥が出るわ出るわ。これはAnhinga(和名なし?)のメスと見ました。もちろん現地ではぜんぜん名前わからず。ようやくさっき調べましたすいません(以下同様)。



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こちら、カンムリカラカラ(Southern crested caracara)。


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で、こちらはキュラソーの一種(Bare-faced curassow)かと思われます。おそらくペアです。


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はい。この調子でオオカワウソまではかなり遠いので、途中で飽きてしまわないようしっかり付いてきてください。



つづく。



おやすみ前にこの一冊・・・
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東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother
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ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
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・・・
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Das Otterhaus 【カワウソ舎】