Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

名古屋港水族館に坂巻さんのお仕事を見に行く

[ I visited Port of Nagoya Public Aquarium to see the works of exhibition designer Masuo Sakamaki. His works around aquariums and zoos are unique and exellent. They have exquisite adjustment of viewpoint and some fine inventions. By the way, this aquarium's features are Beluga whale, penguins of polar region, Sea turtles and Orca. ]

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名古屋港水族館のヒゲペンギン。


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ぶったまげる園児たちに興味津々なベルーガ。


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ベルーガのトレーニング。まずは検温ですね。


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ちょうだい


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たりない


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指示見えてる?


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ちゃんとやってますよー


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またね〜


さて、以前から生態展示造形デザイナー(ってお呼びしていいのかな?)の坂巻さんのお仕事が気になっているので、少しずつではありますが意識して回ってみようと思っておるわけです。

Das Otterhaus 【カワウソ舎】 | 八木山のアフリカ2・キリンにサイに

そう、あの八木山のアフリカ平原を設計された坂巻加夫さん。

名古屋港水族館は1991年の開館時と、2001年の2期(つまり北館)の両方にかかわっていらっしゃる。そんなわけで、今回はじめて名古屋港水族館にやって来ました。


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で、このベルーガ展示(オーロラの海)が実に、というかおそらく坂巻作品だなあ、と気付く。どこかに書いてあったりするわけじゃないですからね。


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ホッキョクグマの巣穴なんかも作ってあります。植物の植わり方とかいろいろ細かいのだ。手押しポンプでプールの水を汲んで触れられたり、とかも(←壊れてました)。


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オーロラの海を出てスタジアム方向へ。


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客席から見たメインのイルカプールですが、後の壁面(と、大型スクリーン)に注目してください。みごとな柱状節理です。高さはそれほどでもないですが、広くスタジアムのステージ背景を形成しています。


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その柱状節理の擬岩の中は、切り通しみたいになってて、歩くことができます。

歩いていくと、「北の海の豊かな生態系」の説明板が見えてきます。その手前の壁面に注目。


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ウミガラスの模型があって、ブック型の説明パネルがあって、その下に卵の模型も置かれています。

ウミガラスは巣を作らず、岩の上にいきなり卵を産み付けるそうです。それでも転がらないのは、卵の形状のためで、尖った部分を中心にして小さく円を描くように転がるので、ころころとどっか行ってしまうことがない。なるほど。

こういう、あまり人通りのないようなところの細かい展示を見つけたりするのも、楽しい。


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南館へ。ウミガメ回遊水槽。


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産卵用の人工砂浜があります。


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昨年8月に孵化したアカウミガメが。

写真は載せませんが、水族館の隣にある「カメ類繁殖研究施設」には、同じ日に生まれた子ガメがいっぱいいました。


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その先、ペンギン水槽。


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ぼよよ〜ん


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ヒゲにアデリー、エンペラー。


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これらのレアペングループと、


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わりとよく会うジェンツーグループが、仲よく同居しています。


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冬の間、ジェンツーたちはおさんぽの仕事があります。


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ヒモに興味がございます。巣材にいいかも。


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ここまで歩いては来たものの、ここから先どうしたもんだか。


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テープに興味がございます。巣材にいかがでしょう。


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おっ!


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こんなところでディスプレイですか。


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ふぃ〜


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しかし、こんなでかいのがジャンプしていいのか!

  • Posted by jsato
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おもいで博覧会・マリンピア松島水族館

[ Japan's second oldest aquarium Marinepia Matsushima Aquarium will be closed on May 10, 2015. Their fishes and animals will move to the new aquarium which is building now in Sendai city. ]

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2015年5月10日に閉館することになった、マイ・ファースト・アクアリウムのマリンピア松島水族館。おそらくこれが最後の訪問になりそうです。

実はこのブログでも震災直後に1度、取り上げただけでした(カワウソいないからね)。

Das Otterhaus 【カワウソ舎】 | 松島どうぶつ・不滅のマリンピア!

その後、紆余曲折を経てやっぱり仙台水族館を作ることになって、お約束通り松島は幕を下ろすことになったわけです。今回の撮影は11月下旬です。


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現在の松島水族館の雰囲気を決定している大屋根がかけられたのは1993年。意外と最近なのでした。


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このレリーフのついた建物は「第二水族館」という建物で、1980年にできました。


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ですので、わたしは数年前に大人になってから初めて来たときに、以前の記憶と全く一致しなかったのは当然といえます。


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水族館のある場所は88年前からずっと同じです。同じ場所で営業している水族館としては日本最古を誇ります。


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それだけに、各時代で景観が大きく変わっているということです。


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「ペンギンランド」ができたのが1989年。この年、単なる「松島水族館」から「マリンピア松島水族館」に名も変わっています。


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このモノレール?は意外に古くからあり、1970年の写真にもレールが写っています。


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スイカペンギンがw


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で、何で歴史に詳しいのかと言いますと、


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この展示を見たからです。なーんだw


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大屋根がかけられる前の全景。


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宮城県出身者にとって松島水族館といえば、もうラッコとマンボウなわけですが(CMがすごかったからね)、ラッコが入ったのは1984年のことでした。実は、ラッコ存命時代にわたしは来ていないのであった。すいません。


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剥製が2体。成獣の方は人気者だったアイ。


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かなりかわいさを意識して剥製化されてます。


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ラッコ金貨。


金貨というのはウソで単なるメダルだと思いますが、実際、ラッコ登場の翌年の1985年に年間入場者数が過去最高を記録しています。ラッコは水族館にとって、まさに金貨のような存在だったと言えましょう。


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他に目玉であったマンボウ、スナメリ、イロワケイルカの展示があり、当時の写真や資料は興味深いものでした。そして現在の目玉であるペンギン。そもそもの発端はイロワケイルカ入手の際にチリにできた人脈を使って、マゼラン、イワトビ、マカロニを入手したもの。1989年のこと。

一般論として、この時代がいい時代だったのか、何とも言えません。今の価値観からするとまあ、かなり思い切ったことをやっていたものだと思うしかないのだけれど。実際に当時、海外から動物を入手するプロジェクトで仕事をされていた某水族館の方にうかがうと、それは冒険譚満載で、超一級の面白い話だったりします。もちろん今日、そんな話はおおっぴらにはできないわけで、そういう意味からもやはり「いい時代だったのですね」としか言いようがないのかもしれない。何とも歯切れの悪い言い方で申し訳ないです。


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ここまで見て、本当に終わっちゃうんだなあ、と実感がわく。



・・・


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ジェンツーの繁殖賞は松島なんですね。

ペンギンランドは仙台水族館にどの程度、引き継がれるのだろうか。


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「第一水族館」に入ります。入口は「ジャングルゾーン」。

夏にブラジルに行ってから、日本の水族館でわりと普通に見られる巨大なピラルクが現地ではなかなか見られないことを知って、見方がちょっと変わりました。何だかんだで日本の水族館すごい。


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松島といったらこれでしょう。しかしカキの展示はその後、宮島がでっかいのを作ってしまったので、今見るとおとなしめの展示です。


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黒潮の海水槽。こちらも他館の巨大水塊を見慣れてしまうと、かわいく見えてしまいます。以前の記事で、小さくてもいい水族館になる方法はあるだろう、とか書きましたが、そういう趣味的なレベルでは経営は成り立ちませんわね。


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コワモテなのに意外に人気のある、バイカルアザラシ。


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バイカルアザラシ展示横の登り通路が、第二水族館へのブリッジになっています。


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通路にはイロワケイルカの展示が。


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第二水族館へ渡ったところから、第一水族館を見るとこういう感じ。


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イロワケちゃん!


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ところで、松島になぜイロワケイルカがいるのだろうか、と思ってましたが、予定ではリクゼンイルカ(イシイルカのリクゼンイルカ型)を入れるつもりだったらしい、ということをさっきの「おもいで博覧会」展示で知りました。というか、リクゼンイルカ入れたのはいいが長生きせず、次善策として塗り分けが違うけど同じ白黒のイロワケイルカになったのだそうです。


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第二水族館外壁のあのレリーフ(3枚目の写真)、リクゼンイルカの塗り分けで作ってしまったのを、あとでイロワケに直した、というエピソードが紹介されていました。


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マンボウを経て、


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ウミガメを通って、


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イロワケプールの上を覗くことができます。しっかりトレーニングされておりました。


というわけで、ほんとにさようなら松島水族館。
水族館の歴史に興味のある方は、「おもいで博覧会」はご覧になった方がよいと思います。


この記事書いてたら、来年5月までの間、もう1回行っちゃうかもしれないような気になってきました。

  • Posted by jsato
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長崎ペンギン・ぶお〜!

[ As I wrote in preceding article, Nagasaki Penguin Aquarium keeps 8 species, 160 penguins. Today I introduce Gentoo penguin, King penguin and Humboldt penguin. Gentoo penguin moves very active both on the ground and in the water. Against that, King penguin tends to be quiet. One of their King penguin reaches to be 34 years old ! This achievement proves that the aquarium has excellent breeding technique for penguins. ]

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お待たせしました。長崎ペンギン水族館のつづき。


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やはりジェンツーはどこでも元気いっぱい。


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おーい!


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なんじゃい!


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陸上でも落ち着きないですが、もちろん水中でも落ち着きない。


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こいつらのどこが鳥やねん、といつも思います。


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ほっといてんか。


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あ、こっち見た!


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つくづく丸いよねw


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しゅわー

これが入ってすぐの水深4メートル水槽。いきなりペンギンが水中をすっ飛んでる姿でお出迎えされます。



・・・


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せわしないジェンツーの一団が通り過ぎる横に、一羽のキングがぽつねんと・・・


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このキングペンギンはペペちゃんというばあさま。34歳ですと!しかしその父ちゃんのぎん吉(入口の横で剥製になってます)は39歳まで生きたというのだからもっとすごい。


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ペペばーちゃんは、


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わがままです。


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気に入らないエサはぜったいに食べません。

いや、まあいずれ食べるんでしょうけど、エサ時間、みたいな人間側の都合にしたがってはくれない、という感じです。


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ヤングなキングのみなさん。


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亜南極ペンギン展示場の全景。写ってないですがイワトビとマカロニもいます。ペペばーちゃんがぽつねんと定位置にいるの、見えますか?


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えっへん。

こちらはキングペンギンのペギー(左手前)と、エンペラーペンギンのフジ(右奥)。もう動きませんけど。

フジは長崎では誰でも知ってる(知ってた)ペンギンだそうで、1964年に捕鯨船に乗って旧長崎水族館にやって来て以来、28年と5か月の長きにわたって飼育されていた個体。まわりがみんなキングという中で一羽だけいるエンペラーということで話題になり、なぜか生まれたてのペペちゃんがなついたりして、そりゃあもう大変な人気だったのだそうです。川端裕人さんのこの本(絶版みたいで残念)に詳しい。

ペンギン、日本人と出会う
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で、キングのペギーの方は、日本ではじめて繁殖に成功したキングペンギン2世で、こちらも1965年のこと。この頃の長崎水族館はとてもアツかったのだ。もちろんそのアツい伝統は長崎水族館の閉館後も長崎ペンギン水族館というえらくコアな水族館として生まれ変わって受け継がれており、それはとってもとってもすばらしい。



・・・



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どしゃ降りの中、「ふれあいペンギンビーチ」で仕事を終えたフンボルトの一団が帰ってきました。


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わおー腹へったぞー


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くれくれ〜


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温帯ペンギン展示の全景(手前切れちゃってますけど)。奥からフンボルト、マゼラン、ケープと隣り合って展示されています。このよく似た3種を比較しながら、微妙な違いを観察できるゴージャスな展示。


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ぶお〜(フンボルトが吼えます)。


こういうものすごくピンポイントで、狙いの明確な水族館ってのは好きです。なぜ長崎にペンギン水族館が?という素朴な疑問には、さきほどご紹介した川端さんの本が完璧に答えてくれますので、日本人なら絶対に読みましょう。

  • Posted by jsato
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おやすみ前にこの一冊・・・
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東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

動物園・水族館・生息地

[動物園・水族館・生息地ごとの記事アーカイブ。カワウソ中心ですが、たまにほかの動物も出ます]

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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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カワウソ本とカワウソグッズの密林セレクトショップ♪

かわうそ店長、とってもハマります。すでに9巻まで出てるよ。

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世界13種のカワウソが網羅されているすばらしい入門書が出ました。写真もいっぱい!

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ハンザのぬいぐるみが各種、買えるようになってますよ。
カワウソ No.3320
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フィギュアはシュライヒが造りがいいですね(なぜか最近すごい値段になってる!)。
Schleich シュライヒ カワウソ
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かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)
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かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)
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空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)
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ぼく、およげないの
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ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学
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Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)
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カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))
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The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother
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椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
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ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
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河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
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・・・
わたしの本も、ついでにいかがでしょう?


カワウソ

おそらく日本初の、カワウソだけ写真集


ドボク・サミット
ドボク・サミット

みんなで作ったドボク本



恋する水門―FLOODGATES

一家に一冊!世界初の水門写真集


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