Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

ストレピ・テュー(2)

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ストレピ・テュー運河エレベータ。この写真で見ると、延々と伸びてきた高速道路がここでブチ切れているように見える。力学的にはこの建物の上からクルマが水平に打ち出され、高級欧州車が放物線を描きつつ眼下の水たまりにダイビングする、みたいな気がするが、そんな気がするだけである。

ところでストレピとかテューっていったい何だ?と思われているかもしれないが、地名である。前回、悪い景観として見てもらったステキな駅前。あれがストレピ=ブラッケニーという駅で、そのひとつ前はテューという駅がある。つまり国分寺と立川の中間だから国立、みたいなざっくりとした考え方は、実はベルギーあたりでも有効なのであった。いや待て、よく考えたら「ストピュー」ぐらいに略さないと国立レベルにはならないのではないか。そう考えると国立ってのは地球規模で思い切りのいい地名である。今となってはとても無理だな。今は白金高輪とか溜池山王とか赤羽岩淵とか浦和美園とか、そういう時代なのだ。あ、はじめからそのへんの駅名を挙げた方が例としてはわかりやすかったのか。

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さて、この運河エレベータは出来たのが1997年、割と最近なので、見学施設が充実しているのだ。前回のYouTubeの映像の中でもちらっと出てくるが、建物の最上階に見学センターみたいのがあって、そこには実動模型もあって超楽しい。さらには水門で言ったら開閉機器室、つまり上屋の巻き上げ機械類が内側から見放題である。こんな感じ。

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さらに見学センターのとなりにはカフェまであって、こんなかわいい機械を見ながらビールとか飲める。もうどうにでもして、というかもう皿洗いでも何でもしますから店で使ってください、という感じである。それにしてもこの機械の色使いはかわいすぎ。レゴみたいでいいんだけど、現実の大きさが全くわからない写真になっている。

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中でビール飲みながらホイールとかぐるぐる回ってるのを見て過ごすのもよいが、やはり「船はどうやってエレベートされるのか」を見届けなければなるまい。というわけでまた外へ。

これは今、下の水路から水槽に船を入れて引っぱり上げている途中だ。ごつい鉄の塊はゲートである。さすがに水漏れはまずいので、しつこいほどの水密構造になっているのが見て取れる。水槽の側面からワイヤーがいっぱい出ているが、これで水槽を吊っているのである。ワイヤーなんかでいいのか。水入れて船入れて合わせて8000トンとか書いてあるけど、8000トンってワイヤーで吊れる重さなのか。

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いいところだけどこのつづきは次回。

ストレピ・テュー(1)

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ベルギーにある世界最大の運河エレベータだ。Ascenseur à Bateaux de Strépy Thieu という名前なんだけど、長いのでストレピ・テューと呼んどくれ。場所は先日のいい感じのサイロのすぐ近所である。


Agrandir le plan


運河エレベータって何だ?というところから始めなくてはいけないのだと思うのだが、まず先にどのように凄いのか、を見ておいてください。その際「運河エレベータ」「運河エレベータ」「運河エレベータ」と何度も唱えると、自己暗示で運気が上昇すると言われている。そもそもこの施設は、Schiffshebewerk(独)、Ascenseur à Bateaux(仏)、 Boat lift(英)などと呼ばれている。どれも直訳すると船のエレベータだけど、日本国民の運気向上のためにあえて「運河エレベータ」と呼ぶことにしたので感謝してほしい。

さて、この運河エレベータ「ストレピ・テュー」が凄いのは、何の変哲もない平和な田舎町の景観を破壊するかのごとく、いきなり現れる点である。最寄りの駅で降りると、駅前の景色はこんなだ。

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ベルギーの美しい街並みなど木っ端微塵であって実に壮快である。西ヨーロッパはどこでも良い景観だなんて言っている人にぜひ見せたい一枚。

駅からの道すがら、こんなかわいらしい道案内が出てたりするが、

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はっきり言って道案内など不要だ。運河エレベータ「ストレピ・テュー」は村のどこからでも見えるからである。無理になぞらえると、ダムの堤体のみを短冊状に切ったものを一枚、村の外れに据え付けるとたぶんこういう感じになると思う。

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「ストレピ・テュー」のPVらしき映像がついにYouTubeに上がったのを発見したので、次回までにこれを堪能しておいてほしい。あまりのかっこよさに失神とかしないように。




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Where captive otters live in Japan.

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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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