Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

山の水族館とキタキツネ

[ Yama No Aquarium is a small inland aquarium in Hokkaido. They have some unique exhibits. At first, visitors can watch fishes from under the basin of the waterfall. The second one is frozen river exhibit. It shows us how fishes live under the ice covered on the surface of the river. And they keep a lot of large Japanese huchen / Sakhalin taimen (Hucho perryi), which is indigenous large salmon. ]

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昨年のこの時期に行くつもりだったのに、荒天で断念していた山の水族館へ、ようやく行ってきました。


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山の水族館、というと、何というか「山の音楽家」的なメルヘン系なかわいらしさも感じられる不思議でネーミングであり、一度聞いたら忘れられない、妙に主張のある水族館名だと思います。おそらく最初は「山の中の温泉場にある水族館だから、とりあえず山の水族館(仮)」みたいな気分で気軽に付けちゃった名前なのではないかと。2012年にリニューアルされる前の山の水族館は、それは不思議な水族館であったということです(その段階でも行ってみたかった)。

で、そのリニューアルの際にプロデューサーの中村元さんは、「北の大地の水族館」に改名したかったそうなのですが、地元の反対で実現しなかったそうです。中村さんのここでの費用対効果抜群なお仕事はあとで見ていきますが、素晴らしいものです。しかし、ネーミングに関してはわたしも中村案より、そのままの方を支持したいと思ってました。山の水族館、ってのはなかなか強力な名前なんですよね。地名や地方をまったく冠してない、もろ普通名詞ですもん。レベル的には海遊館とタメ張ってますな。


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入館して最初に目に飛び込んでくる展示はこれ。


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わーわーわーわー


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メインはオショロコマでしょうか。解説板にはヤマメとアメマスもいることになってますが、素人目には判別できません。下から見てる、ってこともあるし。


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そう、これがウワサの「滝つぼ水槽」です。アクリルがハーフパイプのさらにハーフ、という割り切った仕様でコストを下げたとのこと。これはぜんぜんありですね。水流の迫力は滝つぼ部分に限定されるので、180度の視界はなくても大丈夫。


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つぎはこちら、凍る水槽。外に設置された水流のある水槽の、水面下を覗く展示です。表面が凍っても下の水では魚が暮らしています・・・という状態を見せてくれます。

これを見るために厳冬期に来ているわけですが、外気温度計の数字を見てください。今日は1月なのに何と、7.3℃もあります。3月並みの高温です。


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そりゃ溶けるよね。

しかし、1月4日に全面結氷しており、2日前まではそんなむちゃくちゃ高温ではなかったと思うので、水面の氷は半分ぐらい残っていました。ありがたい。


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ドット柄なのはアメマスだと思います。手前と奥はニジマスで、しっぽだけ見えているのはブラウントラウトかな。上の方がもやもやしているのは、水面に残った氷です。


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氷中心に撮るとこんな感じ。ヤマメもいます。


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水槽の水面。ガラス側から溶けていきます。魚にとっては実は凍ってる方がいいのかもしれませんね。上から捕食される心配がないし。


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ヤマメと氷。


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ミヤベイワナでしょうか。間違ってたら教えてください。魚の見分けは難しいです。


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しかし、流れている水が凍る、っていうのは考えてみるとすごいことですよ。


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ウグイと思われます。



次の展示はイトウの大水槽。

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どひゃー、でっかいイトウが群れをなして泳いでいます! これはゴージャス!


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その奥のちょっと小ぶりな展示が「ジャンプ水槽」。

渓流をジャンプして遡上する魚(ヤマメ)の性質を展示で再現しています。何と、水位が自動で大きく変化します。面白い!

水位の変化は20分が1サイクル。15分間の満水の後、5分かけて減水し、10分間最低水位のプレッシャー状態になります。それをきっかけに遡上が始まるわけです。


さてその最低水位では、ヤマメたちは、こんな感じになります。

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だれかジャンプしろよー    自分が行けよー    下にもぐるもんねー


たまに、だれかがジャンプして上流へ逃げ出します(写真は省略 ← 実はちゃんと撮れてない)。


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わーい、水が増えてきた!   やったー♪   ふぃ〜


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バラけてちょっとリラックスしようぜー   あー疲れたー  やってらんねー


15分後に、また水位低下しますけど。



・・・


山の水族館は基本的に北海道の淡水魚がメインですが、実は熱帯魚もいっぱいいました。温泉の水が熱帯魚成育に抜群に効果的で、魚体がきれいで、かつ大きく育つのだそうです。ぜひみなさんもご自分の目で確かめてみてください。自分がきれいになりたい方は、ぜひ温根湯温泉にご逗留ください。

さて、ここからはおまけ。

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山の水族館の隣には「北きつね牧場」という観光施設がありまして、キタキツネがいっぱいいます。


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なにしろキタキツネですから、真冬でも元気です。


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ぎゃうぎゃう          ぎゃう


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ひょ〜っ!




真冬の北海道の園館シリーズが、つづきます。

おやすみ前にこの一冊・・・
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東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

動物園・水族館・生息地

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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
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ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
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河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
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・・・
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