Das Otterhaus 【カワウソ舎】

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

油壺カワウソ・いつかどこかで

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みなさんご存知のとおり、京急油壺マリンパークが2021年9月末をもって閉館することになってしまいました。発表が5月だったので結構「いきなり!」ですよね。以来、日々のお客さんの入りがとんでもない数になっているようです。

神奈川方面で育った人は遠足とかで必ず行ったことがあるに違いない。閉まる前にもう一度行っておきたい、という気持ちはわかりますね。あ、トップの写真はフクです。


突然ですが、ちょっと下の2枚の写真を見比べてみてください。

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違いがわかります?

1枚目は2010年7月、カワウソ展示が始まってすぐの頃の写真です。2枚めが現在2021年の様子。
木とか看板とか「かわうその森」と彫ってある石とか、主要なところは変わってませんが、園路がぜんぜん違ってるでしょ?

2014年にどーんと拡張されるまで、カワウソ展示は植え込みの向こうの細い園路沿いに展示室が3つだけ、だったのでした。


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トンネルゲートの下から見た現在の様子。舗装の色が左右で微妙に変わっているのがわかると思います。当初の展示は右側の舗装の色が濃い部分だけでした。2014年の拡張がいかに大規模なものであったか、ということです。何しろ奥まったカワウソ展示がいきなりメインストリートになってしまったわけなので。


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カワウソ展示室の反対側のエリアです。本来、カワウソ展示室群とこのエリアは一体的に構想されていて、その総称が「かわうその森」であるわけです。それにしてもこのエリア、できて10年以上たって、実にい〜い感じのビオトープに育ってますよね。これも潰しちゃうのかー、なんかもったいないなあ。


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ビオトープとカワウソ展示室群をつなぐ洞窟風の空間にいるのが・・・


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ここのヌシみたいになっている、ゴマ。


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寝ぼけて水に落ちるなよ、という感じで。


・・・



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これが最後なので、順番に一通りあいさつしていきましょう。まずゴマの隣の、


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ダンデ(左)&フク(右)。


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はやくご飯持ってきてよ〜状態のダンデ。


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フク。
このアクリルプールどうすんのかなあ、などと余計な心配が・・・


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こっちはダンデ。犬連れのお客さん、なんかすごい増えてますね。


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そしてその隣の、


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コテツ。


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&コハル。


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ジャンピングコテツ!


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で、このメインになってる展示に至るわけです。


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あずき。


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あられ。


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その隣に、


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アラシ。


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アラシ棟の別室にいるのが2020年8月生まれのあんこ&健(けん)。この2頭、わたしは初めてお会いします。


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あんこ。


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あんこはしっぽが切れちゃってますの。


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ジャンピング健さん。


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カリカリ散らかし健さん。


・・・


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まだの人はここで記念撮影しましょう!


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なるべくお客さんが写り込まないように撮ってるので空いているように見えますが、実際には今こんなに集まっていいのかな〜、というぐらいの大盛況状態です。


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大回遊水槽が一部、外側から見えることに今頃気がつきました。普通はこの場所で振り返らないよね。


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「ファンタジアム」で開催されるストーリー性のあるいるか・あしかパフォーマンスは、実に油壺のオリジナリティが発揮されてました。他では見れませんからね。


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トレーナーのみなさん、スタッフのみなさん、長い間お疲れさまでした。というかあとちょっとの間、がんばってください。


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こちらこそありがとうございます。


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カワウソのみなさんもお疲れさまでした。きっとまた、どこかで会えますね。その時を楽しみにしています。




油壺カワウソ・祝開館50周年

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京急油壺マリンパークは1968年開館なので、50周年になってたんですね。カワウソ展示だってもう9年になるので全体の約5分の1、すでにその歴史の一部と言ってもよいのです。


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よく晴れた3月下旬の朝。


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あずきあられ姉妹。必ず「あずきが左であられが右」です。


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この鉄板なポジション取り、もう見事としか言いようがありません。


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左がダンデで右がフク。


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ゴマ先生、ご隠居感が。


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前回の撮影から約2年。この間に新獺さんが入ってます。


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左がコテツで右が新獺さんのコハル。


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コハルさん、はっきりした目鼻立ち。


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ファンタスティックコハル♡


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なかよしでなかなかよろしい。


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ネスタ。写真がイマイチですんません。


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アラシというか嵐。この日は引っ込んでましたが覗くと見えます。



・・・お昼でーす・・・



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ちょいと魚屋さん!おまけしてねー!


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もらったぁ〜♪


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それちっさいよん


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はじめからおっきいのちょうだいよ


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ゴマ先生は独特の食べっぷり。


ところで前回、油壺マリンパークではコツメカワウソに対し、ハズバンダリートレーニングを行っていることをご紹介しました。

Das Otterhaus 【カワウソ舎】 | 油壺カワウソ・最先端ハズバンダリートレーニング!

これってなかなかすご〜いことなのであります。どんなにキーパーさんや獣医さんが凄腕でも、カワウソの方も個体差が激しいですから、どのカワウソに対しても採血などができる、ってわけではありません。

前回、採血を見せていただいたのはコテツだったのですが、ゴマにもできるとのことでした。

というわけで、今回はゴマの採血。


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この見事な保定!

今日は練習なので本物の注射器ではなく、爪楊枝?です。注射針の代わりにしっぽの付け根 後肢 にプスッっと行きます。

【2019.4.1 訂正】採血をするのはしっぽではなく、後肢の伏在静脈(サフェナ)という部位とのことです。


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ごほうびだ〜♪



・・・



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さあ、今日も営業すんよ〜


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フクさんひげに水の玉が。


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水中で抱きつき♡ 左フク、右ダンデ。


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また来てね〜!
(やっぱり必ず、左あずきで右あられ)


油壺カワウソ・最先端ハズバンダリートレーニング!

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左があずきで右あられ。

ひさびさの油壺マリーンパーク。なんと前回の記事は2014年。もう2年半とかあっという間ですな。


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すっかり森らしくなった、かわうその森。


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ゴマ先生、思いっきり朝寝中。


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左があずきで右あられ。さっきといっしょだ。


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パイプのおもちゃで遊ぶあずきさん。


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わざわざ棚に置いてから、


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楽しそうに探りますw 
でも何も入ってないと思うぞ。


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バスタブに嵐。


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コテツ、実は今日の主演!
理由は後述。


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かならず、左があずきで右あられ。


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フク&ダンデ。ゴロゴロしているようで、実はしっかり被写体になっております。結果的に営業熱心。


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そして、勉強机で昼寝をするのはとっても気持ちがいい、という真実をたぶん無意識のうちに表現してしまってる嵐。




・・・




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というわけで午後2時。カワウソのお食事タイム!

それにしてもすごいお客さんの入りです。弾き飛ばされたわたしはいつの間にかこんなに引いた位置にいました。


ですからお食事シーンはありません。なにしろ撮れてないので。


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その代わりと言っては何ですが、実はノーマルのお食事が終わってから、「あずあら姉妹」にはスペシャルなデザートがあったんですよ。


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2頭とも、かなりの情熱を持って採餌していますが、何でしょうか?


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これです!

そう、カニですカニ。

ヒライソガニという種だそうです。油壺の磯まで降りると、いっぱいいるらしい。

コツメカワウソの生息地での主食のひとつがカニとされていますが、他の飼育園館では餌の予算の関係などで、なかなかあげることができません。淡水ガニだと寄生虫が心配だとか聞きますし。

しかし、ここ油壺では違ったね。カニなどはタダでいくらでもあげられます。あ、もちろんカワウソキーパーさんのカニ取りの手間はかかりますので、いつもあげているわけではないと思います。あくまでラッキーアイテムと思った方がよろしい。

ちなみに、カニは大好きでもエビはキライな個体が多いそうです。わたしは人間としてエビもカニも同じようなもんだと思ってましたが、コツメカワウソからしたらまるっきり別のものなのね。


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ネスタは寝室展示なのでここでお食事。


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今でも超人気イベントの指タッチ、続いておりますねー。


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ところで、ここ油壺マリンパークではペット同伴で入れるようになっているのですが、そういう場合ほとんどのペットは犬でして(例外も見かけましたけど)、その結果カワウソのところにもいっぱい、犬がやってまいります。

どうなるのかなーと思って見てると、どうにもなりません。基本的にお互いを「いないもの」として扱っている感じです。まあアクリル越しですからね。


・・・



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さてさて、お食事タイムが終わると、日によってはハズバンダリートレーニングが行われます。このトレーニングはもちろん、公開されています。

このブログをずっとお読みのみなさんはすでにご存知と思いますが、念のため書いておきますね。

ハズバンダリートレーニング(husbandry training)とは、現代の動物園水族館業界の文脈で使われた場合、飼育動物の健康管理のために行われるトレーニングのことを指してます。かつてのように芸を仕込むためにトレーニングをするのではなく、病気の予防や治療のための行為をスムーズに行えるよう、ふだんから動物がさわってもいやがらないようにトレーニングするわけです。

以前、秋田市大森山動物園の柴田さんによるキリンのハズバンダリートレーニングを見せていただきました。
Das Otterhaus 【カワウソ舎】 | 大森山キリン・ハズバンダリートレーニング1

キリンのあの長い首に注射針を刺し、白昼堂々!採血を行う様子にびっくりしましたが、次の瞬間、こりゃカワウソでは無理だろうなあ、と思ったものでした。


と こ ろ が 、


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できちゃったんです。これはすごい。

まず、コテツに膝の上に乗ってもらい、吻タッチのフォーメーションをとります。


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この状態で後肢で保定し、獣医さんが血管を探します。


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出ました注射器!


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おおー、行ったねえ!

針を刺した瞬間も、コテツはピクンともしませんでした。カワウソの神経って意外に鈍いのかw


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はい取れました!素晴らしい!

10ml 1ml ほど取れれば分析機器にかけられるのだそうです。これで他の海獣たちのように、健康管理を行うことができるわけです。

【2017.4.19 訂正 数字の記憶に弱いわたし。ノートにはちゃんと1mlと書いてあったw】



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おつかれさまでしたー!


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えらいぞコテツ!

今のところすべてのコツメにトレーニングを行うまでには至っていないわけですが、何といいますかカワウソには難しいだろうな、と勝手に思っていたところ、現場では日々のトライでどんどん先に進んでいた、と。その、この場合は飼育技術ということになるのでしょうけど、進歩のダイナミズム、そして現場のみなさんの熱意ってほんとにすごいなあと、感心してしまったわけです。



・・・


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すっかり葉桜になりました。

かわうその森のあのバラバラなデザインの展示施設(失礼!)も、すっかり油壺の風景として定着しております。カワウソ展示が太い柱の一つになりつつあることをうれしく思う春の夕暮れでありました。


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無理やり新緑ごしに撮ってみました。 ↑ここ新緑。タクアンみたいな色になってるな。


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あ、ちなみにコテツだけでなく、こちらゴマ先生も採血可能ですよ。

おやすみ前にこの一冊・・・
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東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

動物園・水族館・生息地

[動物園・水族館・生息地ごとの記事アーカイブ。カワウソ中心ですが、たまにほかの動物も出ます]

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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother
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椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
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ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
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河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
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・・・
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Das Otterhaus 【カワウソ舎】