Das Otterhaus 【カワウソ舎】旧サイト

生きることは、見ること。写真作家・佐藤淳一が動物園水族館と生息地を訪ねます。カワウソがいてもいなくてもひたすら訪ねます。

長崎バイオパークで「カワウソ」

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キーパーさんから魚をもらう長崎バイオパークのコツメカワウソ、ゲモックくん。

どアップでばかり撮っていると、無意識のうちにコツメカワウソって中型犬ぐらいの大きさ?と思い込んでしまってるらしく、久しぶりに生カワウソを見ると、あれ〜、こんなに小さかったっけ、とびっくりすることがあります。だから、どアップじゃない写真も見てもらわないといけません。ゲモックくん、こうしてみると案外小さいんですよね。巨大ブタカワウソってわけではないでしょ。


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さて、とてもうれしいお知らせ。本日、4月3日から、長崎バイオパークの売店で「カワウソ」を扱っていただけることになりました!大カピバラ売場のある「トトーラ」の方だと思いますが、「メルカドプリメラ」で長崎みやげと一緒になって売られているかもしれません。なにしろほんの一瞬ですが、Amazonで福山雅治の龍馬伝と1位を競った写真集(笑)ですから、これも長崎みやげの一種ですよ。なにはともあれ、本当にありがとうございます。>バイオパークさま

長崎バイオパーク向けに、裏表紙(ゲモック+ナン)が表になるスペシャルカバーを作ればよかったかなあ。そしたらすでに持ってる人ももう1冊買ってくれるなあ・・・

ラブラブ・カワウソ

カワウソ写真集の営業のためと称して、また長崎バイオパークに行ってきました。そんなにしょっちゅう通って大丈夫なのか、という懸念を持たれる方があるかもしれません。でもカピバラの渡辺さんなどは、7日間連続でバイオパークに通ったことがあるらしいので、わたしはまだまだ普通な方だと思われます。

長崎バイオパークのコツメカワウソといえば、ゲモックくんです。カワウソ写真集でも表紙カバー裏に登場してもらいました。

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右がゲモックくん。素敵におデブです。

ゲモック、っていうのはマレー語で太っていること(Gemuk)らしいです。むかし何となく買ったマレー語辞典が、まさかカワウソの名前を調べることに役立つとは想像もできませんでしたね。ゲモックくんはマレーシアから来た野生個体なんですが、人間に飼育された結果として最近太ったわけではなくて、名付けられたときから太っていたということになります。ひょっとして太ってたから人間につかまってしまったのだろうか。

ま、そんなのはマラッカ動物園に聞いてみないとわからないので置いておきますが、とにかくゲモックくんに会いに行ったわけです。

おーい、ゲモック〜

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お、やってきたぞ、と思ったら、ナンとウチョップの姉妹だけです。ゲモックはどうしちゃったんでしょうか。冬は風邪をひくと聞いてましたから、今年も風邪ひいて寝てるのでしょうか。心配です。

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やあナン、ウチョップ。ゲモックはどうしたんだい?

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うん、それがね・・・

別にカワウソと会話ができるわけではありませんが、まあ雰囲気としてはそういう感じですな。

そこにゲモックがさかなを抱えて登場。
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お、ゲモック元気そうじゃん。でもちょっとボロくなってないか?

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食べずにすましております。お腹空いてないのか?

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何だ、やっぱり食べるんじゃない!しかしずっと直立したまま食べるカワウソってありなのか。これじゃあほとんどフィギュアだよ。

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このとてつもない安定感。押しても絶対に倒れないウルトラステーブル・スタンディング。カワウソにしておくのはもったいないぐらいです。相撲協会は彼をマスコットにしてはどうか。

・・・

実はゲモックは勝手にさかな抱えて現れたわけじゃなくて、バックヤードに引っ込められていたのでした。

キーパーさんによると、上野からやってきた新人のメス(ナオコ)が、ゲモックといい仲になってしまい、その結果、当然のことながら古株であるナン&ウチョップとは仲が悪くて、4匹いっしょに放飼場に出せないのだそうです。今日はナン&ウチョップの日なので、ゲモック&ナオコは引っ込んでいたのでした。

どうしてもゲモックに会いたい!という気迫がキーパーさんに伝わってしまったみたいで、特別に交代してくれることになり、ゲモックが現れたわけです。ごめんな〜>ナン&ウチョップ

以前書いた通り、ゲモックくんはナン&ウチョップ姉妹の誘惑に乗らず、異性交友にまったく興味のない個体なのではないかと思われていたのですが、何のことはない、ナン&ウチョップが好みではなかったということらしい。あんなにかわいい顔してるのにね。

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2匹で仲よくお食事中。

こうして見ると、ゲモックが太いのは一目瞭然だけど、ナオコはかなり細身です。どっちがカワウソらしいかといえば、そりゃあナオコの方でしょうけど。

ナオコのおなかからお尻にかけて、毛が抜けてしまってるのが気になります。自分で抜いちゃうんだそうです。ストレスなのね。ゲモックがボロボロなのは、きっとナオコが毛を抜いているに違いない。

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ナオコです。

ゲモックとまるで正反対の、かなり活発な個体です。上野の荒波にもまれて育ったからか。

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こんなふうに、ゲモックにしっぽで絡みついて誘惑しまくりです。すごいアタックっぷりです。

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あらら、何たるラブラブか!見てる方が恥ずかしくなります。どうでもいいけど君たち、しっかり結果を出すんだぞ。

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でもその前にちょっと痩せたら? さっき子どもに「おかあさん、これアザラシ?」って言われてたぞ。

カワウソといういきもの

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それまでは何となく気になる存在だったカワウソを、去年の後半から本気で好きになる必要が生じたこともあり、数か月間、一生懸命に愛してみました。その結果わかったこと。


このひとたちは、とんでもなく面白いです。


カワウソ文学の世界的名著『カワウソと暮らす』で、著者のギャビン・マクスウェルはこのように書いています。


成長しても遊びの習慣を持続する動物はごく限られている。通常の動物は食うこと、眠ること、子を産むこと、またはこれらの目的に関連する仕事に没頭しているものだが、カワウソはこの法則の数少ない例外に属していて、一生のうちのじつに多くの時間を、ときには相手もなしの遊びに費やしているのである。


そう、この動物は、寝ているとき以外は、ものすごい勢いで遊んでいるのだ。真剣に遊んでいる。芸を仕込んだわけでもないのに、小石でお手玉をしたり、葉っぱを頭に乗せて泳いだり、雪滑りをしたり。わたしは野生のカワウソを観察したことがないが、野生のカワウソもやはりちゃんと遊んでいるというから驚きだ。

きっと世界中のカワウソが、いまこの瞬間にも、さまざまなスタイルの遊びを繰り広げていることだろう。そう思うとなぜか、じわ〜っとあたたかい気持ちになってくるのだ。だいじょうぶか自分。


あらゆる客観的認識は主観を映し出す鏡にすぎないとは思うのだけど、カワウソたちの動きを見ていると人間の行為をそのままなぞっているように見えて、吹き出してしまうことがある。

上の写真は長崎バイオパークのコツメカワウソ。ナン(左のメス)がゲモック(右のオス)に言い寄っているように見えませんか。いや、実際にそういう場面でしたこれは。ナンとウチョップという姉妹がいて、ゲモックという貫録のあるオスを手を変え品を替え誘惑しているのだけど、ゲモックくんはぜんぜんその気にならない状態が続いているのだという。あ、本人たちから直接聞いたわけではなくて、飼育員のおねえさんから聞いた話です。

動物園で直立する動物といえば、レッサーパンダが一世を風靡したけど、わたしに言わせればレッサーパンダはかわいらしい毛が生えているだけで、カワウソほどいろいろ面白い動きをするわけではない。カワウソだってしっかりと直立するし、体の自由度の高さや表情の変化の豊かさを考えると、どう考えてもこちらの方がポテンシャルは高い。あ、何のポテンシャルかはいま考え中です。

というわけなので、今年はもっともっとカワウソを見てやろう、と思ってます。だれもわたしを止めないでください。

おやすみ前にこの一冊・・・
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東京書籍刊『カワウソ』をお買い上げくださいましてありがとうございます。おかげさまで何と4刷!

「カワウソなび」の最新情報はこちらをどうぞ↓


Where captive otters live in Japan.

 Otter holding facilities in Japan

動物園・水族館・生息地

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Junichi SATO

self portrait

[佐藤淳一]1963年生まれ。土木構造物と動物という、かけ離れた領域を行き来するあまり類を見ない写真作家。上の写真はベルリン地下鉄の駅の壁に貼ってあった「ハンケンスビュッテルかわうそセンター」のポスターを撮ったもの(2005年)。意図せず自分も写り込んでしまったので、公式セルフポートレートに認定。光学的にカワウソと一体化しています。

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カワウソ本とカワウソグッズの密林セレクトショップ♪

かわうそ店長、とってもハマります。すでに9巻まで出てるよ。

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酒ケーキもいいんだけど、せんべいの方がもっといいよ獺祭。

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世界13種のカワウソが網羅されているすばらしい入門書が出ました。写真もいっぱい!

Otters of the World
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ハンザのぬいぐるみが各種、買えるようになってますよ。
カワウソ No.3320
カワウソ No.3320 [おもちゃ&ホビー]


フィギュアはシュライヒが造りがいいですね(なぜか最近すごい値段になってる!)。
Schleich シュライヒ カワウソ
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かわうそ3きょうだい そらをゆく (にじいろえほん)
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かわうそ3きょうだいのふゆのあさ (えほんひろば)
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かわうそ3きょうだい (えほんひろば)
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空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)
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ぼく、およげないの
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ニホンカワウソ―絶滅に学ぶ保全生物学
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Otter (Animal)
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Otters: Ecology, Behaviour And Conservation (Oxford Biology)
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カワウソと暮らす (富山房百科文庫 (34))
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The Ring of Bright Water Trilogy: Ring of Bright Water, The Rocks Remain, Raven Seek Thy Brother
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椋鳩十全集〈20〉カワウソの海
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ガンバとカワウソの冒険 (岩波少年文庫)
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河合雅雄の動物記〈2〉カワウソ流氷の旅
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・・・
わたしの本も、ついでにいかがでしょう?


カワウソ

おそらく日本初の、カワウソだけ写真集


ドボク・サミット
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みんなで作ったドボク本



恋する水門―FLOODGATES

一家に一冊!世界初の水門写真集


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