実はこのまま石狩川を遡って行くと、最後には大雪ダムが現れることになっている。しかしこのように川の中途半端なところをうろうろしていると、ダムってずーと上流のほとんど天国みたいな位置に鎮座してて、ありがたくもそこからはるばる水が流れてきて、それであらゆる人間の営みが回りはじめる、みたいな気分になってくる。だからダムめぐりをしている人たちって、天国めぐりをしているようなものであって、うらやましい。その一方で俗世の泥にまみれて頭首工めぐりをしている自分は何だか情けない人みたいだ。こういうのをカルマって言うのだろうか。前世の所業が今世の萌え対象を決定するのだ。前世でいったい何をやっていたのか自分。
・・・
何でこんなところで前世など気にしているかというと、雨の降る中、道に迷っているからである。さっきからひとり堤防上を走っていた、と思ってください。

写真で見ると北海道の素敵な道。
すると、この素敵な道は突然、消えてなくなります。

河川の堤防が、どうして鉄道線路にぶつかって終わりになるのか、全く理解できないんだけど、とにかくそうなってる。当然、先には進めない。正式な道ではないから何があっても文句は言えない。Your own riskというやつだ。さすがは北海道、やることがアメリカっぽい。アメリカ行ったことないけど。
ものすごく迂回してまた石狩川に接近し・・・

ふたたび堤防を見つけて走る。石狩川でも「いしかりがわ」でもなくて「いしかり川」なんだけど。こまけえこたぁいいんだよ、なのか。

見つめているとゲシュタルト崩壊を起こしそう。
見てのとおり堤防上は未舗装だが、下の河川敷には舗装された立派な自転車専用道がある。もちろん誰も走ってはいない。いろいろと謎が多い土地柄だ。

このあたりで、ついに水のざーざー音を聞きつける。水がざーざー言っているということは、堰があるということである。めざす愛別頭首工に違いない。頭首工へのアプローチの小道らしきものを見つけたが、草と潅木が深すぎて入り込めない。いよいよ本気でクマ危険地帯なので、軽々しく突破するわけにもいくまい。
よーく地図を見ると、愛別頭首工と石北本線の鉄橋が並行していることに気がついた。よくぞこの位置に鉄橋を架けておいてくれたもんだ。というわけでやっと姿を見ることができた。愛別頭首工へお越しの際は、車より石北本線の方が便利と思う(ただし、付近に駅はない)。
愛別頭首工。


写真をクリックすると、Panoramio上のわたしの写真に飛びます。
写真クリックでPanoramioに行きます。大きな写真と位置情報あり。
続いて4キロ上流の次の中愛別頭首工を探す。こちらも負けず劣らず分かりにくいところにあるが、農家の私道みたいな道を通って順調にアプローチを続けていたところ・・・

何かいる。

もちろん野生。オレの次は黒くて丸いやつだ。
この先、何とかざーざー音のするポイントまでは何とか行けたものの、よいよブッシュが深くてどうやっても姿を拝むことができなかった。残念である。天気も悪いしもう夕方だし、今回はここで引き返すことにする。ゴールの大雪ダムなんか、ここからまだ45キロも遡らなければいけない。大雪ダム、天国なみに遠いぞと思った。
ここまで来た記念に、付近の北電の鉄塔でも撮っておく。

昭和64年3月て・・・